日本とアメリカの「中国観」は世界標準なのか 日本とアメリカの対中観には偏見がある
日本とアメリカ両政府は2021年3月16日、外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で、中国に対し「威圧や安定を損なう行動に反対」と明記、海警法に「深刻な懸念」を表明するなど中国を名指し批判した。「中国の脅威」をあおり「中国封じ込め」を呼びかける対中姿勢は「世界標準」なのだろうか。
「2+2」の直前(2021年3月12日)に開かれた日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国(クワド=QUAD)首脳会合の共同声明は、非同盟国のインドに配慮して中国批判を一切封じた。その姿勢は、中国とともに地域の安定を求める東南アジア諸国連合(ASEAN)にも共通する。共同声明をみると、われわれの対中姿勢がかなりバイアス(偏見)がかかっていることがわかる。
QUAD(日米豪印)首脳会合が持つ意味は?
「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)は、海洋進出を進める中国を念頭に安倍晋三前首相が2016年に提唱、トランプ前大統領が「日米共通戦略」として採用した。日本とアメリカ両国は、英語で「4」を意味するQUADをFOIPの中核枠組みとして重視し、中国包囲網の形成に消極的なインド取り込みを、成否をかけ追求してきた。
QUADは2017年から外相会合を開き、この3年で首脳会合を実現した。今回はインドを「インド太平洋」地域の海洋安全保障枠組みに入れることに成功したのが最大の成果。会合には、ホストであるアメリカのバイデン大統領をはじめ菅義偉首相、オーストラリアのモリソン首相、インドのモディ首相が参加、1時間40分にわたり協議した。
まず発表された共同声明から、会合で何が合意されたのかを振り返ろう。共同声明では、(1)「国際法に根差した自由で開かれルールに基づく秩序を推進することに共にコミット」し「自由で開かれたインド太平洋」を共通理念にすることで一致、(2)東南アジア諸国連合(ASEAN)の「インド太平洋に関するASEANアウトルック」への強い支持確認、(3)新型コロナワクチン供給作業部会をはじめ、重要・新興技術作業部会、気候変動の作業部会の3作業部会を発足、(4)ミャンマー情勢では「民主主義を回復させる喫緊の必要性と、民主的強靭性の強化を優先することを強調」、となっている。
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