「SDGs?日本は昔から三方よし」論に欠けた視点

「環境技術で先進的」は過去、特許で存在感低下

企業はSDGsとどう向き合うべきなのかを解説します(写真:マリン/PIXTA)
SDGsがブームのように広がり、環境や社会に配慮した経営が、企業に強く求められるようになっていますが、欧米に比べると日本企業の危機意識はまだ薄く、世界の潮流にやや乗り遅れている感が否めません。日本企業がサステナビリティ経営を上手に取り組むためにはどうすればいいのか。今回は日本の経営者からよく聞かれる「日本企業はそもそもサステナブル」という主張の問題点について取り上げます。
※本稿は坂野俊哉氏と磯貝友紀氏の共著『SXの時代~究極の生き残り戦略としてのサステナビリティ経営』から一部抜粋・再構成したものです。

「三方よし」の視点をグローバルに広げる

2015年に国連サミットでSDGsが採択され、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でパリ協定が合意されて以降、本格的に企業がサステナビリティに取り組むことが求められるようになった。気候変動や格差などの世界の課題が拡大し、その解決が待ったなしになる中、企業は「世界の課題を生み出す加害者」から「世界の課題を解決する協働者」となることが事業を存続させるうえでの必須条件となりつつある。

その結果、今世界で急速に広がっているのが、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の動きだ。サステナビリティの先進企業は、次々とCO2(二酸化炭素)排出ゼロ(ゼロエミッション宣言)を目標に打ち出している。しかも、企業内だけでなく、取引先を含めたサプライチェーン全体で、ビジネスの根幹から環境や社会に配慮するために、事業ポートフォリオやビジネスモデルを根本から見直し、事業自体を再創造しようとしている。

日本の企業経営者からは、「欧米企業が最近になって『サステナビリティ経営』を声高に叫び始めたが、日本企業は昔から『三方よし』でビジネスを行ってきた」という声をしばしば耳にする。確かに、日本的経営のなかには「売り手によし、買い手によし、世間によし」の三方よしの考えが根づいているかもしれない。

しかし、日本的経営の従来型「三方よし」は、ビジネスがグローバル化、巨大化する状況に適応できていないかもしれない。例えば、あなたの事業の「三方」のなかに、遠いアフリカの鉱山で働く労働者は含まれているだろうか。その「三方」のなかには、あなたの会社が排出するCO2に影響を受けるさまざまな地球上の生物は含まれているだろうか。

今の時代、企業は自社周辺の限定的なコミュニティだけを見渡して「三方」とするのではなく、視点を「世界」「地球」へと広げなくてはならない。世界・地球の「よし」を傷つければ、めぐりめぐって(自分で自分の首を絞めることになり)ビジネス上の大きなリスクとなる。反対に、世界・地球の「よし」を実現すれば、新たなビジネス上の機会となる。

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