「SDGs?日本は昔から三方よし」論に欠けた視点 「環境技術で先進的」は過去、特許で存在感低下

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サステナビリティ経営とSDGs経営が同義で使用され、「わが社はSDGsの17の目標のうち、15個に貢献している」といった発言もよく耳にする。

SDGsというのは、国際連合が主導して作成した2030年にあるべき社会の目標であり、一種の「分類」である。地球規模での「よし」とは何かを考える際のヒントとしては参考になる。世界中のさまざまなプレーヤーが集まって準備してくれた社会課題のユニバース(全目録)といえる。

しかし、SDGsがあってもなくても、地球規模で起こりつつある課題は、刻々と私たちのビジネスの首を絞めようと迫りつつあり、それに対処しなくてはならない。人類に突き付けられたこの宿題には、2030年を超えて対応しなくてはならないものがたくさん含まれている。

一企業ですべてのSDGsの目標には貢献できない

また、SDGsの課題は、企業主導で解決に貢献できる課題もあれば、国やNGOが主となって解決すべき課題もある。一企業ですべてのSDGsの目標に貢献することなどできないし、そうする必要もない。

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あなたの企業が対応すべき課題は、自社の強み(ケイパビリティ)を無視しては決められない。また、その取り組みが長期的に企業価値向上につながらなければ、企業が対応することはできないだろう。自社の強みをもとに、最も社会に貢献できる方法は何かを考えることが重要となる。

したがって、既存ビジネスを、SDGsに紐づけて満足するのではなく、SDGsが示唆する迫りくるリスクとその背後にある大きな機会を真剣に考えてみることが重要だ。

あなたの会社が解決すべき課題は何か、自社の強み(ケイパビリティ)、市場の動き(ニーズ)、企業としての意志(ウィル)をもとに、真剣に考えるべき問題だ。

SDGsブームに安易に乗ることなく、自社にとっての「よし」、クライアントにとっての「よし」、世界・地球にとっての「よし」を実現することにリソースを配分してほしい。そこにリソースを配分することは、外野に言われて嫌々やらされる「コスト」ではなく、環境・社会を守りながら事業を成長させる「投資」となるだろう。

坂野 俊哉 PwCサステナビリティ合同会社

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ばんの としや / Toshiya Banno

東京大学経済学部卒、コロンビア大学MBA。日本生命保険、ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。20年以上のコンサルティング経験を有し、経営戦略、事業ポートフォリオ、事業戦略、海外戦略、アライアンス/M&A(PMIを含む)、企業変革などの経験が豊富。業界経験は、商社、保険を中心に、エネルギー、化学、自動車、産業機器、電気電子、消費財、流通、公共など多岐にわたる。PwC Japanグループのサステナビリティ・センター・オブ・エクセレンスのエグゼクティブリードも務める。

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磯貝 友紀 PwCサステナビリティ合同会社

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いそがい ゆき / Yuki Isogai

2003年より、民間企業や政府機関にて、東欧、アジア、アフリカにおける民間部門開発、日本企業の投資促進を手掛ける。 2008年より世界銀行アフリカ局にて民間部門開発専門官として、東アフリカを中心に民間部門開発、官民連携プロジェクトなどを手掛ける。2011年より現職、サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンスのテクニカルリードとして、日本企業のサステナビリティビジョン・戦略策定、サステナビリティ・ビジネス・トランスフォーメーションの推進、サステナビリティリスク管理の仕組み構築、途上国における社会課題解決型ビジネス支援やサステナブル投融資支援を実施。

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