(第4回)「「企業の倫理憲章」に共同宣言している企業の本音は?」~採用担当者の本音をアンケートで聞く~(その2)

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●今年度の倫理憲章は大学院生も4月まで選考自粛を明記

このように倫理憲章そのものが問題視されている状況の下、今年度の倫理憲章は、学士だけではなく修士(大学院生)採用にまでその範囲を広げたことが話題になった。従来、大学院生に対しては「学習環境の確保に十分留意する」という表現に留められていたのが今年度は4月以前に選考をしてはいけないと、昨年10月にいきなり発表されたのである。
特に薬学、化学系の大学院生の実質的選考活動は例年早く、技術系修士採用の準備をしていた企業から戸惑いの声が上がった。

今回の倫理憲章に関する東洋経済オンラインのアンケートで、4月以前の選考を自粛する範囲を今年度から大学院生まで広げたことに対するコメントを求めたところ、技術系採用の多いメーカー企業中心に不満が噴出した。

・「検討の時期が遅すぎる。実態として、業界では大学院生の選考がスタートしておりこの時期に選考をストップすることはできない。もっと早い時期に検討をすべき。経団連の見解として、実態は選考が進んでいても、趣旨に賛同するのであれば署名賛同して欲しいというのは問題があると思う」
・「学業優先の観点から望ましいと思う。しかし今年に関しては、明記された時期が化学系を中心に活動が始まっている段階だったため、学生・企業双方に混乱が生じていると思う」
・「11月の倫理憲章の発表では賛同企業の中には既に選考を開始している会社もあるのでタイミングが遅い。倫理憲章を遵守している企業が損をしないように配慮して欲しい」

・「実際には(遵守は)不可能」

・「特に修士の場合は、卒業年度は修士論文の作成(実験、調査等)に忙しくなると思われるため、実態にそぐわないと考える。むしろ、説明会や選考日複数日設けるなどの対応が現実的であると考える」

・「学校の対応もバラバラなので学生もとまどうのでは?」

・「共同宣言された企業がはたして本当に遵守しているのか疑問」

・「修士理系学生に対する水面下の動きがさらに激化するのではないか。各業界・企業または各学校が共通の意識を持って遵守に努めなければ、実質的には遵守されないのでは」

・「ますます、倫理憲章に共同宣言していない企業が有利になる」

・「当社は文系中心の採用なので関係が薄いが、理系中心の企業には非現実的な話しだと思う」

・「水面下での動きがあれば、何の変化もない」

・「学部生と同様になるのは良いが、結局倫理憲章に宣言していない企業との不公平をどうすればよいか考える必要あり」

・「修士の採用活動まで4月からとなると、学士採用活動に加えて新入社員研修と重なる部分が負荷になり、人材の豊富な大手企業に有利になると思う。業界毎に採用活動の開始時期も異なるので、真面目に倫理憲章を守る企業が競争で負けかねない。全社が守るのなら別だが、罰則もない憲章なので、趣旨には賛同できるが、そうは言っていられないという企業も多いのではないか」


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