●守られていないことへの不満
採用活動早期化への一定の歯止めになっているという見方が一般的だが、実際は卒業・修了学年の4月以前に水面下で選考をしている企業が多いとの指摘もある。ただ、罰則規定がないため、それらの企業が罰せられることはない。共同宣言開始当初は、違反企業に対して社名を公表するという警告もあったようだが、これまで一度も公表されたことはない。当初共同宣言に参加していた企業でも、「共同宣言している他の企業が平気で破っているのを見て、これでは正直者が馬鹿を見ると考え、翌年から参加をやめました」という声も聞かれる。
また、日本経団連傘下企業といえども、共同宣言していない企業は関係なく4月以前に選考、内定出しを行っている。日本経団連傘下でない企業は全く関係なく、特に外資系企業やマスコミの一部の動きが早く、昨年中から選考、内定出しが行われているのが現状だ。このように、倫理憲章は就職活動をする当の学生にとって非常に分かりにくいものとなっている。指導する学校の態度もまちまちで、認識すらしていない学生も多い。
今回は、「東洋経済オンライン」にて倫理憲章で共同宣言している企業に緊急アンケートを実施した。
まず、共同宣言していることが自社の採用活動に有利か不利かを聞いたところ、下記のような結果となった。
【質問】日本経団連の倫理憲章に昨年共同宣言された企業の方にお聞きします。
倫理憲章に共同宣言していない企業が選考を早期に行うことに対して、不利だと思われますか。(択一) |
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不利だと思う |
48 |
関係ない |
70 |
有利だと思う |
3 |
その他 |
11 |
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最も多いのは「関係ない」の70社だが、有利が3社に対して不利が48社と、不満の方が圧倒的に大きいことが分かる。
2007年5月に、文化放送キャリアパートナーズ就職情報研究所が採用担当者に倫理憲章についてコメントを求めたところ、下記の通り問題視する声が大半であった。
一方で、
といったコメントも少数ながら見られた。
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