遺体写真も流出「サイバー犯罪」凄まじいリアル 被害は石油パイプラインから病院、警察まで

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ランサムウェア攻撃は一段とえぐさを増している(写真:alexsl/iStock)

ランサムウェア攻撃は甚大な被害をもたらすことがあるが、状況は悪化の一途をたどっている。

「ランサムウェア攻撃」とは、ハッカーがコンピューターネットワークに侵入してデジタル情報をロック、解除と引き換えに被害者に「身代金」を要求するサイバー犯罪だ。この種の攻撃によって先日もアメリカの石油パイプラインが一時停止に追い込まれたばかりだが、病院の救急患者受け入れがストップする事件も起きている。

筆者は、ランサムウェアを含むサイバー攻撃の拡大を長年取材してきた同僚のニコル・パルロース記者に、アメリカの政府や個人がサイバー犯罪から身を守る方法を聞いてみた。彼女はできるだけ明るい見通しを示そうとしてくれたが、ランサムウェア被害の根本原因に関する分析は暗い。アメリカは対策への投資を怠ってきたというのだ。

攻撃手法はますますえぐいものに

――ランサムウェア攻撃は実際に増えているのか? それとも、増えているように見えるだけなのか?

状況は悪化している。攻撃の数は急増し、標的になる組織の種類も増えている。身代金の額も数千万ドル(数十億円)というレベルに達した。攻撃手法も、ますますえぐいものになっている。

パンデミックで事態の悪化に拍車がかかった。企業や学校などがバーチャルに移行し、犯罪者にとって攻撃のチャンスが増えたためだ。

アメリカではここ数カ月だけを見ても、大企業、大学を含む学校、地方自治体、病院、警察などが被害に遭っている。ランサムウェアギャングの手口も大胆さを増してきた。身代金を払わなければ組織のデータを大っぴらにばらまくと脅迫するのは、比較的新しいパターンだ。

次ページ遺体写真が流出し、がん治療もストップ
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事