遺体写真も流出「サイバー犯罪」凄まじいリアル 被害は石油パイプラインから病院、警察まで
――実害は出ているのか?
少し前にフロリダ州の警察が攻撃され、犯罪現場の遺体写真が入った「dead(死亡)」という名前のフォルダなどを流出させられている。
私が目にしたものの中で最悪だったのが、バーモント大学メディカルセンターが受けた被害だ。サイバー攻撃で医療記録が消去され、一部患者の化学療法(抗がん剤治療)ができなくなった。職業上ここまでひどい経験はしたことがないと看護師たちは話していた。
――がん患者に危害を加えたり、遺体写真を流出させたりして、いったいどうしようというのか?
それについては、一般紙で掲載できるような言葉が見つからない。
アメリカの対策は穴だらけ
――アメリカはどのような対策を講じているのか?
アメリカの取り組みはぬるい。アメリカは犯罪者および国家勢力のサイバー攻撃から最も標的にされている国であるにもかかわらず、それに見合った行動が見られない。たいていの場合は、企業や政府機関にランサムウェア攻撃防止のガイドラインを示し、うまくいくことを願うだけ。成果は出ていない。
――では、どうするべきなのか?
特効薬のようなものはないが、効果のありそうな策はいくつかある。まず、アメリカ政府はランサムウェアをテロに並ぶ国家安全保障上の脅威と位置づけることもできる。情報機関の対応を強化する形だ。
ロシアなどランサムウェアギャングをかくまっている国々に制裁を加えたり、アメリカとの渡航を制限したりする手もある。ランサムウェア犯罪者を取り締まるよう、これらの国々に圧力をかけるのだ。