東武200型「りょうもう」伊勢崎線を駆けた30年 スペーシアより地味でも足回りは"デラックス"

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東武の社員にとって、200型とはどんな車両なのだろうか。同社車両部車両管理所の里嶋昇さんは「最近の電車はボルスタレス台車が多いが、200型は『揺れ枕』が付いたスイングハンガー式。部品点数が多くメンテナンスに手間がかかる分、乗り心地はいい」と胸を張る。

台車など足回りは1720系から引き継いだ(記者撮影)

また、車両部管理課の茂木勝典さんは「最近のブラックボックス化した電子部品とは違い、古い車両は中の機械構造を調べて勉強することができ、技術伝承の教材として役立つ」と現場の業務での利点を挙げる。「東武の社員の中でも帰省などでよく利用し、200型に愛着を持っている群馬出身者は多い」と話していた。

運転台がもう1つある?

乗り慣れたベテラン車両の200型でも、あまり知られていない意外な注目ポイントがある。中間車には、車端部の客室の壁の向こうに簡易運転台が隠れている車両が存在する。これは車両基地で点検をする際に、編成を分割して移動させる必要があるために設置されている。運転台がある連結部分を外からのぞいてみると、前照灯や尾灯、窓にワイパーまで取り付けられているのがわかる。

墨田区にある東武博物館は、館内で配布している「東武博物館だより」(2021年3月号)で、「200型特急りょうもう号のトリビア集」と題した特集を掲載した。

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同誌によると、1994年には8両編成化が検討され「220型」の仮称もあったが計画が見送られた、ビジネス利用を想定して室内の窓枠上部にはFM・AMアンテナが内蔵されている、走行計画によっては6時10分から23時56分まで1日880km以上走る場合がある、という。200型の編成ごとの違いや、トリビアを知っていると、乗車したときの楽しみが増えそうだ。

30周年の記念イヤーを迎えた200型も、すでに1本(201編成)が引退、解体されている。東武は2021年度の設備投資計画で、500系「リバティ」(3両編成)を6本新造するとしており、特急用車両の世代交代が進むとみられる。先人たちがメンテナンスに手間暇をかけて受け継いできた伝統車の乗り心地をじっくり体感するなら今のうちかもしれない。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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