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黒船「OYO」、不動産賃貸の手痛い挫折が残す教訓 DXの「理想」に立ちはだかった「現実」のハードル

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2019年のインタビューでは不動産手続きのデジタル化に自信を見せていた勝瀬博則CEO(当時)。だが2020年1月にひっそりと退任した(撮影:今井康一)

2020年初より本格化したコロナ禍も追い討ちをかけた。感染を恐れた入居者が入退去を控え、OYOの業績にも暗雲が垂れ込める。家賃の割引や企業とのタイアップ企画などカンフル剤を打ってはきたものの、先行きの不透明感は拭えなかった。

こうして2020年11月、経営陣の間で個人的なつながりのあった霞ヶ関キャピタルに、事業承継の打診を行ったようだ。不動産賃貸事業を譲渡したOYO Japanは今後、ホテルの宿泊予約や旅館の経営指導といった宿泊事業に注力する。

IT企業として出直す

経営のかじ取りを担うKC technologiesは、OYOが手がけていたサブリースを基軸とする不動産賃貸事業からの転換を図る。サブリース契約を結んでいる住戸は現状1000戸程度あるが、既存の入居者に対してはKC technologiesが従来どおりサービスを提供する。

ただし、「(OYO時代の方針と同様に)新規の物件借り上げや入居者募集は行わず、現状の入居者が退去した物件は順次解約を進めていく」(霞ヶ関キャピタルの緒方取締役)。

不動産賃貸を順次終了させる一方、賃貸住宅にまつわる業務を一気通貫でデジタル化するIT企業として再出発を図る。

「OYOには多数の技術者が在席しており、優秀な人材は多い。スマホで契約手続きを最短30分で完了させた実績や、約1万戸の物件管理で培った知見にも価値がある」(緒方取締役)。新会社ではOYOの不動産賃貸部門社員の転籍を受け入れている。

とはいえ、「不動産テック」という言葉が浸透する昨今の不動産業界。スタートアップの参入が急激に進み、住宅管理業務一つとっても多数の企業がデジタル化ツールを提供している。たとえOYOから優秀な技術者を受け入れても、新会社が競争に打ち勝つのは容易ではない。

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【「リアル」を知る強み】

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