就活生を翻弄する「コミュ力」その意外な正体 「サークルの代表経験」が武器にならない理由

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「当社は主体的に行動することを重視しており、社員に求める資質、人材像を明確に定義しています。周囲を巻き込んで主体的に活動するためにはコミュ力が必要ですが、人材像を構成する要素ということで、コミュ力それ自体を細かくは定義していません」(IT)

「直接的には定義していません。ただ当社では面接で学生が話すエピソードをコンピテンシーのような項目で区分し、評価しています」(素材)

「コミュ力」の内容とポイント

次に、17社にコミュ力の内容とポイントについて尋ねました。記述式なので多様な回答がありましたが、エッセンスをまとめると断然多かったのは、以下の2つでした。

質問3:重視している「コミュニケーション力」の内容・ポイントを教えてください(複数回答可)。
他者と関係を構築する能力:11社
自分の考えをロジカルに説明する能力:10社

「営業はもちろんですが、SEや法務といった職種でも、社内外の関係者との関係づくりが欠かせません。実績を上げているSEを見ると、ITの知識は当然として、顧客に適切な質問をして要求を把握し、他のメンバーと協力して仕事を進めています」(IT)

「コミュ力というより思考力の問題かもしれませんが、状況を深く観察し、自分なりのロジックを構築し、それをわかりやすく伝える能力を重視しています。面接で表面的な受け答えはできても、少し突っ込んで“なぜ”と聞くと詰まってしまう学生が多いので、しっかり見ています」(商社)

企業の職場で社員は、多様な関係者とともに複雑な課題の解決に取り組んでいます。「関係者と協力して仕事を進めること」「複雑な状況を分析し、自分の考えをロジカルに関係者に伝えること」が、社員に求められるコミュ力のようです。

よく新入社員の導入研修で挨拶の仕方や名刺の渡し方などを教えるので、就活生(や研修講師など専門家)には、これらを企業が求めるコミュ力と勘違いする向きがあります。しかし、これらはコミュニケーションの「スキル」であって、「能力」として企業が求めるのは、もっと次元が高いものだと言えます。

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