サムスンの絶頂期が永続するとは思わない--李潤雨・サムスン電子副会長
--20年に売上高4000億ドルを目指す「ビジョン2020」を掲げています。今後10年で4倍の成長です。この目標が実現されたときに、サムスンはどのような企業に変わっているのですか。
09年にわが社は40周年を迎えました。現在の売上高の内訳を見ると、家電や情報通信産業といった「インフォテインメント(インフォメーションとエンターテインメント)」を軸とした事業構成です。製品においては半導体やテレビといった端末単品の販売で成長してきました。
しかし、今後4倍に成長するには端末の販売だけではなく、コンテンツも絡めた新しい事業領域を開拓しなければなりません。インフォテインメント以外にも、ライフサイエンスやエネルギー、環境といった新事業も加えなければならないのです。
この成長は、オーガニックグロース(自律成長)だけでは難しいでしょう。M&Aをオープンイノベーションの手段として、新しい成長領域や技術を取り入れていきます。
日本の部品メーカーを韓国に誘致する
--これまでの目覚ましい成長は、なぜ成し遂げられたのですか。
要因の一つは、私たちが「ファストフォロワー」だったということです。事業領域で先行していた日本企業から、多くのことを学びました。もう一つはグローバル経営です。サムスンの売上高は9割が海外。韓国国内は1割ぐらいを占めるにすぎません。生まれながらにしてグローバルな企業を志向してきたのです。
先行企業が手掛けるいろいろな事業のうち、私たちがうまくできそうな分野を選択し、経営資源を集中させてきました。つねにスピード経営でもありました。これが実現できたのは、強い企業統治ができるオーナー経営であったからです。