「サッカー競技場でテレワーク」奇策できた事情 コロナ禍で赤字続出Jリーグの切り札になるか
「愛知県は2月末まで2度目の緊急事態宣言が出ていて、いつ解除されるか流動的だったので、販売開始が3月5日とギリギリになってしまいました。さらに、3月は日中でもまだ気温が低くて、屋根のない環境で1日仕事をするのはやっぱり寒さが堪えるという声も聞かれました。
われわれとしてはあったか座布団をプレゼントし、ブランケットを貸し出しし、ホットドリンク飲み放題のサービスもつけるなどで最大限できることをやりました。こうした配慮を前向きに受け取ってくださったのか、4月14日のサンフレッチェ広島戦、22日のガンバ大阪戦とリピーターの方が常時30人強はついていただけるようになった。気温が日に日に上がり、快適に過ごせるようになったのも大きいと思います」と遠藤リーダーは前向きにコメント。5月12日の鹿島戦と26日のベガルタ仙台戦でも実施する予定だ。
6~7月は東京五輪期間でホームゲームの開催はないが、問題なのは8月。同月には2試合の平日ナイターが組まれており、これまでの流れだとテレワークスタジアムを実施したいところ。
だが、屋根のない環境では暑さをしのげず、日中の仕事は厳しい。緑の芝生を見ながら開放的な気分で仕事できるのはなかなかの好環境ではあるものの、気象条件はいかんともしがたい部分だ。
収益性が最重要課題
ただ、仮に札幌ドームのような空調利用可能なスタジアムを使えたとしても、今度は採算の問題がのしかかる。名古屋の現状を踏まえると、毎回30数人の利用者しかいないため、そこまでコストがかけられないのが実情だ。
「これまで3回実施してみて、やはり収益性の部分はクリアすべき最重要課題だと感じます。現在、販売している92席が完売したとしても採算が取れるかどうかは微妙ですね。豊田スタジアムでは最大132席用意できるので、いかにして認知度を高めていくかが今後のカギになると思います。
もう1つの難題はスタッフの労力。今は社員2人と運営アルバイト5人、駐車場管理スタッフ1人という体制でやっていますが、朝のテレワークスタジアムの準備から23時過ぎまでの試合運営の撤収まで既存スタッフで回していくのも厳しい。人手をかけるとその分、収益が低下しますからね」と遠藤リーダーも苦しい胸の内を吐露する。
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