「サッカー競技場でテレワーク」奇策できた事情 コロナ禍で赤字続出Jリーグの切り札になるか
「今季は東京五輪とアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の影響で平日ナイターの試合が数多く組まれています。加えて、本拠地の1つである名古屋市のパロマ瑞穂スタジアムが今年から改築に入り、すべての試合が豊田スタジアムで開催されることになりました。
そこで今年1月、過去のチケット購入者など約2万人に豊田での平日開催についてのアンケート調査を実施したところ、『キックオフ時間を遅らせてほしい』『名古屋から特急列車を出してほしい』といった意見が数多く寄せられました。その中に『スタジアムでテレワークができたらいい』という要望が含まれていた。『これはできるんじゃないか』という機運が盛り上がり、動き始めたんです」
「少しでもファンサービスになるのであれば」
名古屋の試合開催は、運営主体の株式会社豊田スタジアムから1日借り切る形を取っている。つまり、ナイターであれば日中は自由に活用できるのだ。ただ、通常ならスタッフはキックオフ7時間前から準備をすればいいが、テレワークを実施するとなると、12時間前に会場入りして対応しなければならなくなる。
19時開始の試合日であれば、朝7時には数人のスタッフが準備を開始し、8時半からオープン。利用者に試合開始2時間半前の16時半まで記者席を使ってもらい、そこから約1時間で消毒や清掃を済ませて、報道陣に開放する形になる。
スタッフの負担は少なくないが、「少しでもファンサービスになるのであればトライしよう」ということで、2月中旬には正式決定。3月のホームゲームから実行に移した。
価格設定は、屋外記者席利用で2000円、駐車券付きだと5000円。試合チケットは別売りとなるが、Wi-Fi環境完備で試合を見ない人も利用可能とした。これを売り出したところ、1回目の横浜FC戦では52人が利用。1回目としてはまずまずの手ごたえをつかんだという。
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