なぜ、完全自動運転はすぐ実用化できないのか コンチネンタルのレベル4公道実証で得た核心

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イージーマイル製車両の最大の特長は、ミリ波レーダーSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)と呼ぶ技術を搭載していることだ。

既存の周波数77GHz帯域のミリ波レーダーを車両前の両端にそれぞれ2つ、車体前の中央部に1つ、車体後部の両端にそれぞれ1つ、合計7つを搭載し、自車の周囲約200mで検知を行う。

一般的に、自動運転での自車位置測定は、GPSなど衛星測位で大まかな位置を把握し、Lidar(ライダー)と呼ばれるレーザーを使ったレーダーや、地面に埋め込む磁気マーカーによって自車位置を修正しながら進む方法をとる。

無人運転シャトルとそれに搭載される77GHz帯域のミリ波レーダー(筆者撮影)

ただ、ライダーは価格が高く、雨などの天候変化に対して弱い場合もあり、「ライダーより廉価なミリ波レーダーによる自動運転システムの冗長性を持たせて、頑健なシステム構築が可能」だという。これまでのミリ波レーダーはノイズが大きく、自車位置の把握での対応は難しかったが、新しい技術によりそうした課題を克服したというわけだ。

このほか、前方約40mでの画像認識を行うステレオカメラと、前方約10mに対応するシングルカメラを作動させる各種センサーも併用する、センサーフュージョンを行う。

交通の優先権を判断しての安全走行

走行中の車内には、システムのチェックと手動運転の切り替えが必要になった場合を考慮して2人のエンジニアが同乗したが、「特定条件下における完全自動運転」となる自動運転レベル4を想定してシステム主体で走行した。

走行ルートでは、ゲート幅の狭い駐車場を出て、歩道を横切る際は一旦停止するなど、ミリ波レーダーや各種センサーが、周囲の交通の優先権を判断。交差点の手前では、パーソナルカーと同じく、信号情報を得て走行する。

最高速を時速15kmとしており「信号が青から黄色に変わりかけの(いわゆる)ジレンマゾーンへの対応に役立つ」という。

2人のエンジニアが同乗して走行する無人運転シャトル。東京臨海部を走行した(筆者撮影)

今回の走行では約50mの大きな交差点があったが、信号情報によって早めに停止した。ただし、安全走行に徹底し、走行速度が周囲のクルマよりかなり遅いため、後方から追突されるリスクがあることは、コンチネンタルも十分に承知している。

そのため「周囲のクルマとのコミュニケーションや、(この車両自体が)社会からどう認識されるかという、社会需要性についてさらなる議論が必要だ」という認識を示した。

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