自動運転の「国家プロジェクト」は成功なのか

SIP-adus成果発表に見る「国家で」行う意味

金沢大学が行った東京臨海部での実証実験に用いられた車両(筆者撮影)

ホンダが世界初となる自動運転レベル3を可能とする新型「レジェンド」を発表し、ようやく自動運転車が社会実装されるようになった。また、いくつかの地方では、移動サービスとしての自動運転車の実証実験が熱心に取り組まれ、自動運転を実装する次世代のモビリティへの期待が高まっている。

しかし、自動運転の実現には技術革新や法律の整備など、課題が山積しているのも事実だ。その課題を解決するためには関係者の相互協力が必要であることはいうまでもなく、2014年に府省連携する産学官体制が発足し、「SIP-adus」という名称の国家プロジェクトが動きだした。

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国の予算を使うことから、自動運転の実用化に必要な協調領域を切り取り、民間の力を結集して取り組むために公募方式で受託者を決定している。

2014年から始まった第1期は2018年に終了し、現在は第2期として活動しているが、本稿では2021年3月25~26日に有明TFTホールで開催された「SIP-adus」第2期中間成果発表会の模様を紹介する。

第1期の成果は「ダイナミックマップ」の実用化

SIPとは「戦略的イノベーション創造プログラム」の略で、第1期では11課題が選定され、自動運転はその中のプロジェクトの1つである。「adus」(Automated Driving for Universal Services)というサブタイトルを付した意味は「すべての人に移動の自由を提供する」という想いが込められているからだ。これは、初代プログラムディレクターの故・渡邉浩之さんの意思である。

「SIP-adus」第1期の主な成果は、ダイナミックマップと名付けられた高精度3D地図の実用化だ。

クルマが搭載するセンサーと高精度3D地図により、自車の位置を正確に推定することで自動運転が可能となるが、現実の道路交通状況は時々刻々と変化しているので、生きた情報を提供するという意味から、ダイナミックマップと命名されている。つまり、現実の道路交通環境のデータベースとなることが狙いだ。

Honda SENSING Eliteを搭載するホンダ「レジェンド」(写真:本田技研工業)

このダイナミックマップは、日産「スカイライン」の「プロパイロット2.0(レベル2)」が初めて搭載し、世界初となるホンダの新型レジェンド「Honda SENSING Elite」にも使われている。

さらに2019年から始まった、インフラと協調する東京臨海部実証実験の準備が進められていた。

「SIP-adus」は5年で区切ることが原則なので、第1期は2018年に終了したが、1年オーバーラップする形で第2期が始まった。ここではさらに高度な技術開発が行われ、実証実験から社会実装へのモビリティサービスという新たなるチャレンジが始まっている。

次ページ29の機関が参画した第2期の成果発表
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