つまりは長野電鉄は終点まで乗れば徹頭徹尾、行楽路線ということになる(むろん長野市に近い区間では通勤通学路線としての顔も持つ)。特急列車も「ゆけむり」と「スノーモンキー」の2種類が走っていて、前者は元小田急ロマンスカー、後者は元成田エクスプレスの車両が活躍。普通列車も日比谷線や東急線の古い車両が使われているが、こうした光景は地方のローカル私鉄ではおなじみである。
長野駅から先は、いかにして県外に出るかという選択になる。北陸新幹線に乗る手が王道だが、それではつまらないので普通列車の旅を続けよう。
再び第三セクターのしなの鉄道北しなの線に乗ると、東に斑尾高原、西に妙高山を見ながら妙高高原駅でえちごトキめき鉄道と接続、長野県の旅を終える。この先は旧信越本線から旧北陸本線へと第三セクターの旅を続けて北陸へ。北陸新幹線をほぼなぞるようなルートである。
対して、北しなの線ではなくJR飯山線というルートもある。飯山線は千曲川とともに旅をして森宮野原駅付近で新潟県との県境を跨ぐ。その先には十日町という日本随一の豪雪地帯があって、冬場には運休になることも珍しくないのが特徴だ。特急街道のような路線とは違い、一貫して千曲川の清流を眺めつつ里山風景をゆくザ・ローカル線。野沢温泉などの見どころもあり、観光列車「おいこっと」も走るあたり、乗るだけで楽しみを得られる路線といっていい。
こうして長野ルートの鉄道旅は締めくくりである。途中に2つのローカル私鉄、締めくくりには里山風景を楽しめるローカル線と、実に見るべきところの多い楽しい鉄道の旅である。
一方の松本ルートは?
では、松本ルートはどうだろうか。
「あずさ」に乗って春まだ浅い信濃路へ、最初の分岐はまだギリギリ山梨県の小淵沢駅である。小淵沢駅からは、八ヶ岳南麓をぐるりと回って北進し、しなの鉄道線の小諸駅までを結ぶ小海線が分かれている。
小海線は普通鉄道としては日本でいちばん標高の高いところを走る高原路線で、とりわけ八ヶ岳を望む野辺山駅付近の車窓は美しい。野辺山高原もいいが高原野菜の畑を眺めるのもこの路線の旅の醍醐味である。
小淵沢に次ぐ分かれ道は、諏訪湖畔の駅・岡谷であろう。岡谷駅からは中央本線のメインルートと、"大八廻り"
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