長野か松本か、その二択への答えはどちらの街に目指す観光地があるかとか、食べたいグルメがあるだとか、そういうところを基準にしてそれぞれが考えていただければいい。なので、実際にはそれほどの問題でもないのだが、とにかくここでは“鉄道”という観点でそれぞれのルートを比較してみることにしよう。
まずは長野ルートだ。かつて、碓氷峠の難所を越えていた信越本線は今はなく、北陸新幹線は釜めしを買い求める間もなくトンネルで上信国境をひとっ飛び。このルートにおける長野県の玄関口は軽井沢である。
軽井沢から在来線に乗り換えるとすると、信越本線が転換された第三セクター路線・しなの鉄道線になる。しなの鉄道線は小諸・上田を経て篠ノ井までを結ぶ路線だ。
信越本線時代には幾多の特急が走っていたが、今では通勤ライナー的な快速列車が走る程度のローカル線になった。上田に本拠を置いた戦国武将・真田氏の六文銭にちなんだ観光列車「ろくもん」も走り、北側に浅間山を望む車窓も見どころの1つで、小諸から篠ノ井までは千曲川に沿う。
しなの鉄道線が通る街のうち、小諸は4つの平の1つ、佐久平にあってJR小海線との乗換駅でもある。小海線のお話は後に譲るとして、次いで上田駅。上田駅からは上田電鉄別所線というローカル私鉄が分かれている。
台風による長期運休から復活
信州の鎌倉ともいわれる別所温泉と上田の中心市街地を結ぶ路線で、2019年の台風19号によって上田―城下間の千曲川橋梁が崩落する被害を受けた。当初は復旧を危ぶむ声もあったが、橋梁部分を市有化して復旧することで決着、今年の3月28日に全線で運転を再開している。
しなの鉄道線をさらに北に進もう。しなの鉄道線としては篠ノ井駅で終わって、篠ノ井―長野間はJR信越本線。ただ、篠ノ井で乗り換えを強いられても難儀なので、しなの鉄道の列車はそのまま長野駅まで乗り入れる。
上田がそうであったように、長野の街も私鉄が幅をきかせている。長野電鉄長野線。JR長野駅の傍らにある地下駅から出発し、須坂・小布施・中野などを経て終点の湯田中へ。湯田中は湯田中温泉のある温泉街の駅で、志賀高原の玄関口として存在感を見せる。さらにクルマで10分も行けばお猿が温泉に浸かる地獄谷だ。
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