年金未納の多い夫が死んだら遺族はどうなるか 加入期間が短くても遺族年金はもらえるかも
正男さんは50歳、月収40万円の会社員です。実は、正男さんには年金未納期間が26年もあります。「43歳まで役者を目指してアルバイト生活、その間、ずっと年金を未納にし続けていた」そうです。結局、役者になるのを諦めて、46歳のときに正社員として就職することができました。
一方、正男さんの妻、典子さんは49歳。月収30万円の会社員、バツイチで小学生の子どもがいます。大学卒業後、地元企業に就職し、ずっと同じ会社で働いています。2人が出会ったのは、正男さんが正社員になった頃。4年前に結婚し、今は子どもと3人で暮らしています。
さて、このご夫婦の遺族年金と老後の年金について考えてみたいのですが、その前に、年金の基本を少しおさらいします。年金には、基礎年金と厚生年金の2種類の年金があります。会社員や公務員など厚生年金加入期間がある人は、基礎年金と厚生年金の両方を受け取ることができます。一方、自営業など厚生年金に加入期間がない人は基礎年金のみ受け取ることになります。どのくらいの金額を受け取れるのかについては、基礎年金は一律の金額ですが、厚生年金は納めた期間や給料によって金額が異なります。
加入期間が短くても遺族基礎年金をもらえる「特例」
そこで、まずは典子さんの遺族年金から考えてみたいと思います。典子さんには未納期間がありませんから、遺族基礎年金は問題なく支給されます。18歳までの子ども1人の場合、金額は約100万円で一律です。一方、遺族厚生年金は今までの給料と加入期間などを掛け算して求めます。計算すると約40万円でした。つまり、典子さんが万一の場合、遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金合計で年間140万円支給されるということです。
正男さんはどうでしょう。遺族基礎年金を受け取るには、保険料を納付した期間や免除された期間が加入期間の3分の2以上必要です。正男さんの保険料納付済み期間はわずか4年、免除の手続きもしていませんから、要件を満たしていません。
しかし、ここで「特例」があります。令和8(2026)年4月1日前の場合は、直近1年間に保険料を納付していれば遺族基礎年金を受給できるのです。正男さんは4年前に会社員になって以来、毎月保険料を納めています。したがって、遺族基礎年金は典子さんと同じ約100万円支給されます。
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