年金未納の多い夫が死んだら遺族はどうなるか 加入期間が短くても遺族年金はもらえるかも
でも、老後に正男さん自身が受け取る年金には遺族年金のような特典はありません。老齢基礎年金については、典子さんは満額の約80万円を受け取れるのに対し、正男さんは約30万円ほどでしょう。
老齢厚生年金は、65歳まで働いたとすると、典子さんの場合は約85万円になります。しかし、正男さんが65歳まで月収40万円の給与を保てたとしても約50万円にしかなりません。基礎年金と厚生年金をトータルすると典子さんは約165万円、正男さんは約80万円ということです。
また、夫が65歳になったとき、年下の妻がいると老齢厚生年金に加給年金という家族手当が約40万円つきます。年齢的に正男さんと典子さんはこの条件にあてはまりますが、この手当は厚生年金に20年加入しないとつきません。正男さんが65歳のとき、厚生年金加入期間は19年ですから1年足りず、加給年金も受け取れません。
年金には国民の生活を守る仕組みがある
老後の年金は、いつまで生きるかわからないというリスクに備える保険です。いくら払って、いくら受け取れるのかといった損得の話は、ナンセンス。自力で老後の資産を準備するにも限界があります。そのため、年金はリスクを社会全体で分散し、国民がリスクに直面したときにも安定した生活を送れるような制度になっているのです。
未納が多くても、正男さんは老後の年金を生涯受け取れますし、遺族年金については未納がなかったかのような金額になります。これは、年金制度が強制加入である国の制度だからこそできる仕組みといえるでしょう。年金制度は、私たちが安定した生活を送るために存在するのです。
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