年金未納の多い夫が死んだら遺族はどうなるか

加入期間が短くても遺族年金はもらえるかも

では、遺族厚生年金はどうでしょうか。受け取れる要件は、遺族基礎年金と同じです。正男さんは直近1年間に未納がないため、遺族厚生年金も受け取ることができます。とはいえ、未納期間が26年もある正男さんです。しっかり保険料を納めてきた典子さんに比べ正男さんの年金額は少なくなりそうなものですが、遺族厚生年金にも手厚い「特典」があるため、何と年金額は典子さんより多くなるのです。計算すると年金額は約50万円でした。

特典とは、遺族厚生年金では被保険者期間が300カ月(25年)未満の場合、300カ月とみなして計算するというものです。正男さんの加入期間は48カ月しかありませんが、300カ月加入したものとみなして計算できるのです。遺族厚生年金は給料と加入期間などを掛け算して計算しますから、現在月収が高い正男さんのほうが典子さんより遺族厚生年金の金額は高くなるのです。

一般的に若い人ほど年金の加入期間が短く、まして子どもがいる家庭だと、子どもはまだ幼いですから、遺族厚生年金の「300カ月最低保障ルール」は、残された家族にとって非常にありがたいルールです。若い世代に限らず、加入期間が300カ月に満たなければ、どの人もこの特典に当てはまります。

「残された妻」は65歳になるまで保障される

ただし、この遺族年金は正男さんが万一のときに支給されるものですから、受け取るのは典子さんです。典子さんと子どもが正男さんが万一のときに、生活に困らないように支給されるのです。典子さんの子どもはまだ小学生ですから、もし、正男さんに万一のことがあれば今後の教育費が大変です。300カ月最低保障の特典が適用されるため、典子さんは安心感を得ることができるのです。

さらに、遺族基礎年金は、子どもが18歳になると、支給終了となりますが、その後、典子さんが65歳になるまでは、中高齢寡婦加算という遺族厚生年金の奥様手当を受け取ることができます。金額は、年間約60万円です。

したがって、正男さんの未納期間が長くても、残された典子さんは子どもが18歳になるまで年間150万円の遺族年金を受け取ることができ、それ以降も中高齢寡婦加算60万円、遺族厚生年金50万円、年間110万円を65歳になるまで受け取ることができるのです。65歳以降は、典子さん自身の老後の年金と金額が調整されますが、少なくとも65歳まで遺族年金はトータル約2000万円受け取れます。遺族年金は、被保険者本人に未納期間があっても残された家族に対しては、しっかり保障されるのです。

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