なぜNHKが独走?「歴史番組」の知られざる歴史 民放地上波では短命に終わってしまう理由

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このブームに呼応して、2007年「タモリのヒストリーX」(フジテレビ)、2008年には「日本史サスペンス劇場」(日本テレビ)、「新説!?日本ミステリー」(テレビ東京)など、民放らしい新感覚の「歴史バラエティ」がゴールデン・プライム帯に編成されるに至った。正攻法な歴史番組と言ってもいい内容のものから、「日本ミステリー」のように珍説、奇説を扱うものまで百花繚乱だったが、翌2009年にはほぼすべてが終了。

当時、筆者が番組関係者に取材した記憶では、民放にはNHKほどの歴史関連の映像アーカイブがなく、再現VTRを一から撮影する予算の確保が難しく(これは時代劇制作においても同様のことが言える)、さらに毎回採り上げるテーマや人物によって視聴率にバラツキが出てしまうこともネックになり、その後も民放地上波の歴史関連番組は短命で終わる傾向にある。

民放BSは現在でもレギュラーで制作

ただし、2000年に開局した民放BSでは、歴史番組はシニア層を中心に好評で、現在も各局でレギュラーあるいは単発で制作されている。

なかでも歴史番組の制作に積極的なのがBS-TBS。今回取り上げた「にっぽん!歴史鑑定」はその代表番組だが、前身番組である「謎解き!江戸のススメ」(2012~2015年)は、当時NTTドコモの1社提供番組で、少なくとも「視聴率のバラツキ」に頭を悩ませることのない制作環境のもとで、江戸期のあらゆる事象を網羅した良番組だった。

また、BS日テレ「片岡愛之助の解明!歴史捜査」(2015~2018年)も、調査取材に力を入れた骨太の作りで印象に残る。

2009年3月に終了した「その時歴史が動いた」の後継番組として、同年4月にスタートした「歴史秘話ヒストリア」は、9年続いた前番組での蓄積を受けて、歴史の裏側にある知られざる物語=秘話にスポットを当てた。その背景には、これまでの歴史番組がどちらかというと男性層、また歴史好きの人といったメインターゲットを大胆にシフトし、歴史に興味がない人も含めた幅広い層を意識した。

その象徴が番組の案内役を女性アナウンサー(初代渡邊あゆみ、2代目井上あさひ、3代目渡邊佐和子)にしたことだろう。CG合成によるオープニング、Kalafinaによるテーマ音楽など、また新たな歴史番組の誕生を実感させた。そして同番組は今年、「歴史探偵」として生まれ変わった。

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