主演俳優で振り返る「NHK大河ドラマ」の歴史 今年で60作目、最多主演4回を誇る名優とは?

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2021年の大河ドラマ『青天を衝け』で主役を務める吉沢亮さん(写真:2020年2月、都内で行われた第44回エランドール賞授賞式で撮影 Motoo Naka/アフロ)

 まもなくスタートするNHK大河ドラマ『青天を衝け』。これが60作目という大きな節目でもある。1963年の開始以来、大河ドラマは日曜夜の国民的ドラマとして長い歴史を紡いできた。

当然世間の関心も高いが、なかでもやはり主演が誰かは真っ先に気になるところだ。ちなみに現時点で最多主演を記録しているのは西田敏行で4回。ここでは、主演俳優の移り変わりを中心に大河ドラマの歴史をたどってみたい。

27歳の緒形拳を抜擢した『太閤記』

井伊直弼が主人公の第1作『花の生涯』(1963年放送)は、「大型時代劇」と呼ばれていた。

「大型時代劇」と言うからには娯楽重視路線で、時代考証はあるが特に歴史解釈にこだわっていたわけではなかった。それを現在のような「歴史ドラマ」へと大きく転換させたのが、豊臣秀吉が主人公の第3作『太閤記』(1965年放送)である。

そのことを象徴するシーンが初回にあった。ドラマの冒頭、走る新幹線、名古屋駅、そして名古屋にある豊国神社が映る。するとその拝殿のそばにある笹に若き日の秀吉が潜んでいて、こちらを向いてニヤリと笑う。

時代劇と思っていたところにいきなり新幹線が映るのだから、視聴者も驚いただろう。実際、NHKには「電車が走っていたようだが、ミスではないか。通らない時にやってくれ」という視聴者の声も寄せられたという(大原誠『大河ドラマの歳月』)。

もうひとつ『太閤記』が最初だったのが、若手俳優の主役抜擢である。それまでの大河ドラマは「日本一のドラマ」を作るという合言葉のもと、第1作、第2作ともに、尾上松緑(放送開始時50歳)や長谷川一夫(同55歳)のような歌舞伎界、映画界の大御所スターを主役にキャスティングしていた。

ところが『太閤記』ではその慣例を覆し、お茶の間ではまだ無名だった当時27歳の緒形拳を主役に抜擢したのである。

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