主演俳優で振り返る「NHK大河ドラマ」の歴史 今年で60作目、最多主演4回を誇る名優とは?
そしてついに、2004年に『新選組!』で香取慎吾、2005年に『義経』で滝沢秀明と2年連続でジャニーズが主演を務めるまでになった。近藤勇を演じた香取慎吾は放送開始時26歳、源義経を演じた滝沢秀明は同じく22歳。滝沢は、当時の単独主演最年少記録だった。『新選組!』の場合は本来の史実に合った年齢の近藤勇を描こうとしたこと、『義経』の場合はワイヤーアクションなどを使った派手な立ち回りが見どころであったことも、若くしての起用理由としてあった。
また2010年代以降は、ジャニーズも歴史ドラマでの実績などが考慮されるようになっていると言えるかもしれない。
『軍師官兵衛』(2014年放送)では、岡田准一が主演を務めた。元々大の歴史好きでもある岡田の場合は、同じNHKの歴史ドラマ『大化改新』(2005年放送)で主人公の中臣鎌足を演じた経験があった。
同じことは、2023年放送予定の『どうする家康』で主演を務める松本潤にも言えそうだ。松本も、幕末から明治を舞台にした歴史ドラマ、NHK『永遠のニㇱパ 〜北海道と名付けた男 松浦武四郎〜』(2019年放送)で主演した実績がすでにあった。
女性が主人公になる時代
一方、大河ドラマと言うと武将や英雄、つまり男性主人公のイメージが強い。実際、現在までのところ、男女のダブル主演3作を除いた57作中46作、約8割がそうである。
女性主人公の大河ドラマの最初は『三姉妹』(1967年放送)だが、女性主人公が増え始めたのは1970年代の終わりから1980年代にかけてである。橋田寿賀子が脚本を担当した佐久間良子主演『おんな太閤記』(1981年放送)などは、視聴率も好調だった。
そして2000年代以降になると、女性主人公の作品が再び増える。大きかったのは、2008年放送の『篤姫』である。主演の宮﨑あおいは、放送開始時22歳1か月。史上最年少での主役だった。彼女のフレッシュな魅力もあり、この作品はサラリーマンなど男性視聴者が主なターゲットだった大河ドラマに女性視聴者層を開拓、視聴率的にも成功を収める。
それからというもの、『江~姫たちの戦国~』(2011年放送)の上野樹里、『八重の桜』(2013年放送)の綾瀬はるか、『花燃ゆ』(2015年放送)の井上真央、さらに『おんな城主 直虎』(2017年放送)の柴咲コウと、若手を中心に女優の主演起用も珍しくなくなった。
この背景には、大河ドラマにつきまとうマンネリ打破ということもある。
特定の時代の武将や英雄に主人公が集中しがちな結果、戦国時代なら織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、また幕末維新なら坂本龍馬、西郷隆盛など同じ男性主人公ばかりになってしまう。掘り下げ方を変えるにしても、史実を重んじる歴史ドラマであるため自ずと限界がある。そうなると、配役に新鮮味を求めて女性を主人公にした作品が企画される。大河ドラマも長い歴史を重ねてその傾向が顕著になった。
ただ、現在発表されている2022年、2023年の大河の主人公はいずれも男性。2018年の『西郷どん』以降6作連続で男性が主人公となっており、また潮目が変わっているといえよう。
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