別姓婚「日本も有効」で露呈した戸籍制度の矛盾 25年も議論棚上げ、多様な夫婦への対応は急務

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海外では夫婦別姓制度の導入が進み、法務省によると法律で夫婦同姓とするように義務づけている国は日本だけだ。日本は、国連の女性差別撤廃委員会から法改正の必要性を繰り返し勧告されている。

早稲田大学法学部棚村政行研究室と選択的夫婦別姓・全国陳情アクションが2020年に全国の20~59歳の7000人に行った合同調査の結果、別姓を選べないために法律婚を諦めた人が1.3%いた。夫婦別姓の議論が始まって40年近く、1996年の民法改正案の答申から25年が経つ中、夫婦別姓を望む人々は不安定な状態におかれ続けている。

4月22日、選択的夫婦別姓・全国陳情アクションをはじめとする市民グループなどが、小池百合子都知事(左から5人目)に、選択的夫婦別姓の実現に向けた法改正の提言を求める要望書を手渡した(記者撮影)

選択的夫婦別姓・全国陳情アクションの井田奈穂事務局長は、「望まない改姓をしてアイデンティティーを毀損した状態で亡くなる人や、(選択的夫婦別姓が法制化されるまで)待つと言って、30年来事実婚を続けてきた人もいる。事実婚のまま年を重ねてきたことで、配偶者の医療合意ができないのではという不安が高まる、介護施設で同じ区画に入ることを断られるなど、30年前には想定されていなかった問題が起きている」と訴える。

ビジネスシーンでの混乱も招きうる

経済界でも、選択的夫婦別姓の法制化を切望する声があがっている。「選択的夫婦別姓の早期実現を求めるビジネスリーダー有志の会」の共同呼びかけ人の1人、サイボウズの青野慶久社長はこう話す。

「これだけ女性が当たり前に働き続けるようになり、海外出張や海外赴任もするようになって、社内で困り事があることを経営者も認識するようになっている。(選択的夫婦別姓を認めず)法的根拠のない旧姓の通称使用を拡大することは、どの名前がどこまで使えるのかといった二重管理の問題などでビジネスの現場でさらなる混乱を生む」

現在、4組の事実婚夫婦が夫婦別姓の婚姻届の受理などを求め2018年に提訴した「第二次夫婦別姓訴訟」のうち3件について、最高裁大法廷で審理されることが決まっている。

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