別姓婚「日本も有効」で露呈した戸籍制度の矛盾 25年も議論棚上げ、多様な夫婦への対応は急務
夫婦の2人が結婚前の姓を名乗ることを認める、「選択的夫婦別姓制度」の議論に一石を投じる判決となるか――。
アメリカで別姓のまま結婚した日本人夫婦が、日本の法律においても婚姻関係にあることを認めるよう国に求めていた裁判の判決が4月21日、東京地方裁判所で下った。東京地裁は婚姻関係を戸籍へ記載できることの確認といった請求を却下・棄却した一方で、アメリカで成立した2人の婚姻関係は国内でも有効であると認めた。
原告の映画監督の想田和弘さんと映画プロデューサーの柏木規与子さんは、1997年にアメリカ・ニューヨーク州の法律に基づいて結婚した。日本人同士が外国で結婚した場合、その婚姻関係を日本の戸籍に登録するため、大使館などに報告のための婚姻届を提出することが求められている。それに基づき、2人は2018年に千代田区役所で別姓のまま届け出をしたが、夫婦同姓を定める民法や戸籍法に違反するとして受理されなかった。
同姓規定を満たす必要はあるのか
戸籍によって婚姻関係を公的に証明できなければ、税や相続の問題などでさまざまな不利益を被りかねない。そこで2人は、それぞれの戸籍に結婚相手を記載することで婚姻関係の証明を受けられることの確認や、法の不備で被った不利益に対する国家賠償を1人当たり10万円ずつ求めていた。
争点となったのは、外国で婚姻した日本人同士の婚姻関係が日本でも成立するには、「夫婦は婚姻の際に夫または妻の氏を称する」という日本の夫婦同姓規定を満たす必要があるのかどうかだ。
原告側は、夫婦同姓規定は2人の婚姻関係が日本で成立するために必要な条件ではなく、2人は日本でも法律上の夫婦であると主張。対する国は、外国で結婚した場合でも夫婦同姓規定は婚姻の要件であり、別姓のままの2人の婚姻関係は成立しないと反論した。
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