自分最優先で「生きたいというわがまま」の必要 寝たきりでも働ける「分身ロボットカフェ」始動

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自分の体を現場に運ぶことが困難な方々が働ける場を築くことを目指す、分身ロボット「OriHime」の開発者、吉藤オリィさんにその思いを聞きました(写真:オリィ研究所提供)
分身ロボットOriHimeの開発者オリィ研究所の吉藤オリィさんが、寝たきりでも働ける「分身ロボットカフェ」の常設化プロジェクトを発表した。クラウドファンディングを行い、2021年6月21日に日本橋でオープンする予定だ。ALSや脊髄損傷などをはじめ、病気、入院、海外在住などさまざまな理由から、自分の体を現場に運ぶことが困難な方々が働ける場を築くことを目指す、その思いを聞いた。

「生きたいというわがまま」を貫いた友

――オリィさんの目標の1つだった「分身ロボットカフェ」の常設化がいよいよ現実化しますね。寝たきりなどの外出困難な方が、分身ロボットOriHimeや自走できるOriHime-Dを使って働くこのカフェ開設の構想をいつから描いていたのですか。

「分身ロボットカフェ」は、私の親友で秘書をしていた番田雄太と思い描いていた夢だったんです。番田は、4歳のときに交通事故によって頸髄損傷になり首から下はまったく動かなくなりました。

人生のほとんどを寝たきりで過ごした番田は私と出会ったとき「この20年間は太陽に当たりたいということすら、自分の意思ではかなわなかった」と言っていました。これは、周囲が彼へ無関心だったということでは決してありません。周りが熱心に看護をすればするほど、「安全のためだ、仕方ないよ」と言われたのです。

番田はよく「明日死んでもいいから、好きなことをしたい」と語っていました。「生かされている」のではなく、たとえ迷惑をかけたとしても「生きる」ことを求めていたんです。自分の意志で周囲にアクセスし、やりたいことを実現する方法を探す。2017年に亡くなるまで、「生きたいというわがまま」を貫いた人生でした。

――私たちは、つい迷惑をかけてはいけないという思いが先に立ちますよね。

そうですね。私は「ありがとうの負債」というものがあると考えています。例えば、被介護者が「ありがとう」「ありがとう」……と繰り返していると、いつの間にか「いつもごめんなさい」に変わる。さらに、「社会や周囲の人に迷惑をかけている自分は生きていても意味がない」という思いにすら陥ります。これは、3年半の不登校時代に私が感じたことでもありました。

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