認知症リスクが3割高まる危険な「睡眠時間」

最新研究で判明した睡眠不足が招くリスク

慢性的な睡眠不足は認知症のリスクを高める可能性がある(写真:Graphs/PIXTA)

睡眠不足が認知症のリスクを高める可能性はあるのか。

研究者はかねて睡眠と認知機能低下の関係を明らかにしようとしてきたが、なかなか答えにたどり着けないでいる。認知症につながる脳の変化が原因で睡眠不足になっているのか、それとも睡眠不足が原因で認知症につながる脳の変化が起きているか、その判別が難しいからだ。

だが、新たに発表された大規模研究はこれまでになく説得力がある。50〜60代で睡眠不足だった人は後に認知症になるリスクが高まる可能性がある、というものだ。

6時間以下の睡眠で危険度は3割上昇

学術誌『ネイチャーコミュニケーションズ』で4月20日に公開されたこの研究には限界もあるが、さまざまな点で説得力がある。これはイギリスで約8000人を50歳以降から約25年にわたって追跡調査したもの。

平日夜の睡眠時間が平均6時間以下だと繰り返し回答していた人は、普段7時間の睡眠(同研究ではこれが「正常」の睡眠と定義されている)をとっていた人に対し、30年近くたってから認知症と診断される確率がおよそ30%も高くなることがわかった。

「認知症と診断される30年近く前に、認知症の症状として睡眠不足になっていた可能性は極めて低い。これは睡眠不足が実際に危険因子であることを強く裏付ける重要な研究だ」。カリフォルニア大学サンフランシスコ校のクリスティン・ヤッフェ教授(神経学、精神医学)はそう話す。教授は今回の研究には関与していない。

認知症では記憶・思考障害が表れる15〜20年ほど前に、アルツハイマー病との関連が指摘されるタンパク質が蓄積するといった変化が脳で始まることが知られている。認知症になる約15〜20年前に表れた睡眠障害は、認知症の症状だった可能性もあるということだ。

このため「鶏が先か卵が先か、つまり睡眠障害と認知症の病理的変化のどちらが先なのかという点」が問題になってきた、とセントルイス・ワシントン大学医学部で生体リズム・睡眠センターの共同所長を務めるエリック・ミューシック准教授(神経学)は指摘する。准教授も今回の研究には関与していない。

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