「張り紙1枚」で交通の利便性は飛躍的に高まる 震災10年の津波被災地をたどる・福島いわき編

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イオンモールいわき小名浜を10時ちょうど発のいわき駅前行きバスで、さらに海岸線をなぞる。経由地として案内されている江名や、途中の豊間、薄磯などは、鉄道にだけ乗っていると馴染みがない地名だ。いずれも津波で大きな被害を出した。上り、下りのバスを乗り換えて何度か行きつ戻りつしつつ、自分にとっては目新しい風景を眺める。

いわき駅行きの新常磐交通の路線バス(筆者撮影)

バスは時々、広い「防災公園」の中を走る。もとは集落があったところだろう。新しい住宅は、少し離れた高台の造成地に見える。かつては妥当だった走行ルートも、住民が移ってしまえば見直しも必要だ。簡単にはいかない事情があるのだろうか。

コロナ禍が追い打ち

新興住宅街の中にある西原に11時28分着。乗ってきた江名経由はこの先、西へ内陸部へとルートを変える。すぐ11時36分には、少しだけ海岸に近いところを走る夏井経由のいわき駅行きがあるので、乗り換えた。平日のみ、1日下り5本、上り6本だけ走る系統だ。それでも、いわき市の中心部、平へ近づくにつれて、高齢者を中心にかなりの盛況になったのは心強い。

JRいわき駅がある平地区は、東京23区の約2倍の面積がある広大ないわき市の中心だ。上野・品川とを結ぶJRの特急はもちろん、高速バス、路線バスの路線網のターミナルとなっている。

とくに、県庁所在地である福島市方面へは、鉄道が不便であるため高速バスが輸送の中核だ。いわき―仙台間にも高速バスがあり、東京電力福島第一原子力発電所事故で大きな被害を受けた広野町や富岡町の町内からも利用できる。

ただ、東京便なども含めて、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で高速バスは軒並み減便、運休に追い込まれており、小名浜への乗り入れも中止。新しい災害に見舞われていることを実感する。

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