「出社削減」その先に起こるオフィスの大変化 「5G」と「AI」が今後のオフィスづくりのカギに
こうした実績のある大手企業に加えて、新しい感覚のオフィスづくりに取り組む企業も登場している。
パナソニックが創業100周年を記念して渋谷に開設したオープンイノベーション拠点「100BANCH」のプロデュースで知られるロフトワーク(東京都渋谷区)では、「自分たちのホームグラウンドを再構築しよう!」をコンセプトに掲げ、オフィスづくりの支援を始めた。
企業にとってセンターオフィスは社員が働くだけの場所ではなく、ファンや地元住民などいろいろな人が集まるホームグランドのように、コミュニティーや企業文化を醸成する場所をめざそうという考え方だ。デジタル工作機械を設置してものづくりができる「FabCafe」を世界12カ所に展開するなど、コミュニティーデザインやコンセプトづくりには定評がある。
不動産テックのGAテクノロジーズは、2021年2月からサブスクリプションモデルを導入したオフィス設計サービス「RENOSY WORK(リノシーワーク)」を立ち上げた。
企業ビジョン策定からオフィスデザインを支援するだけでなく、レイアウト変更などオフィスをアップデートしやすいように、家具や家電のサブスクサービスのクラス(東京都目黒区)と連携してサービスを提供する。
今後は機能ごとにオフィス空間をモジュール化し、その利用状況などのデータを蓄積することで、生産性の高いオフィスをモジュールの組み合わせによって実現することをめざす。
「5G」と「AI」が今後のオフィスづくりのカギ
これからのオフィスづくりでは、ABWに加えて、TBW(テクノロジー・ベースド・ワーキング)がますます重要になると考えられる。コロナ禍を契機に、クラウドとモバイルがオフィスでの働き方を一気に変革したように、これからカギを握るのは5GとAI(人工知能)だろう。
ソフトバンクの新本社には5Gが導入され、「高速大容量」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」の特徴を生かしてオフィスのスマート化を進めていく。イトーキが5Gで実現をめざすサイバーフィジカルオフィスでは、ミクスト・リアリティー(複合現実)技術を使って離れた場所からものづくりに参加することが可能になる。
AIは、大量のデータを使って予測を行う機械であり、その予測に基づいて判断して行動することで、これまで人間が行っていた仕事の自動化が進んでいくと予想されている。もちろん現時点では、AIにも得意・不得意があるため、AIに置き換えることが可能なタスク(作業)を人間が判断し、従来のワークフローを再構築する必要がある。
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