感染者激減した「イギリス」から日本が学べる事 効率的とはいえない国でワクチン接種進んだ訳

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イギリスは長らくロックダウン状態にあったが、4月12日から制限が段階的に解除されている(写真:Jason Alden/Bloomberg)

新型コロナウィルスのワクチン接種が、日本でも、いよいよ本格的に始まった。一方、昨年12月上旬から全国的に接種を開始したイギリスでは、現在までに総人口6700万人の約半分に当たる約3300万人が1回目の接種を終えている。現在コロナワクチンはそのほとんどが2回分でワンセットとなっているが、イギリス政府はまずは1回目の接種を拡大させることに力を入れてきた。

接種開始から約4カ月経ち、感染者数、入院者数、死者数は大きく減少。政府によると、新規感染者数は1日当たりで1882人(18日)、死者数は10人(同日)、新規入院者数は179人(13日)となっている。直近のピーク時には、新規感染者数が約8万1000人(昨年12月29日)、死者数は1357人(今年1月19日)、新規入院者数は4577人(1月13日)だったことを考えると、まさに「激減」したと言っていいだろう。

ヨーロッパ大陸では今も感染の「第3派」が猛威を振るっているが、ワクチン接種が進むイギリスでは昨年春の第1派、秋から冬以降の第2派を経て、今やほぼ終息に向けてまっしぐらだ。イギリスの現状と、なぜイギリスの状況がここまで改善したのかについて考えてみたい。

ロックダウンは段階的に解除

イギリスは、決してコロナ対策に成功した国ではない。昨年春、ウイルスの感染拡大を阻止することができず、医療現場で感染を防ぐための防御セット(マスク、メガネ、ケープ、手袋など)も大幅に不足した。「ロックダウン(都市封鎖)」の導入も遅れ、3月23日の最初のロックダウンまでに大量の感染者を出した。第1派では死者の大半が高齢者施設にいた高齢者や職員という悲劇的な展開となった。

夏には一時感染が阻止されたかに思えたが、日本のGOTOトラベルを彷彿とさせる外食奨励政策が負の影響をもたらし、秋以降の感染が再び急増。以前のウイルスよりもはるかに感染力が強い変異株が広がり、現在までに死者数は約12万7000人と、ヨーロッパ諸国の中で最多である。

しかし、ワクチンが浸透したことで、冬から実施されていた「第2のロックダウン」を今月中旬から次第に解除できるまで事態は好転している。

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