船内は「アンダーコントロール」状態だった
――それにしても、当時の新聞を読み返すと、「誤算」「対応後手」「失敗例」などと、DP船内の感染対策は厳しく批判されていましたね。
阿南:いろいろ批判はされていたけど、(2020年)2月5日の乗客への自室待機(隔離)要請以後、大きな感染の拡大はなかったはずですけどね。
近藤:そもそもDMATが船内活動を開始して5日目になる2月11日に、日本環境感染学会のチームが乗船して感染対策をチェックして「問題なし」という判断をしてもらっています。注意すべき点を指摘してもらってA4版1枚の書類にまとめてありますが、おおむね大丈夫だと。
それから、活動の進み具合でいえば、(汚水処理のためDP号が埠頭から離岸した)11日までに、救急措置が必要な人は船から降ろし、薬が必要な人への処方も一応終わりました。そうして15日ぐらいまでには、具合の悪い人をどうやって早期に見つけ出し、陽性患者をどういう手順で搬送するかなどのルーティンはほぼ固まっていたんです。
何より、連日30~40人ほどいた新規の発熱患者が、15日以降はほぼ1桁になりましたから。これが大きい。安倍(晋三・元首相)さんの五輪招致演説で有名になった言葉を借りるなら、「アンダーコントロール(制御されている)」状態だったんです。
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