「矛盾だらけ」の頭の固い人を変える交渉テク 力ずくで押してもかえってガードが固まるだけ

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同じテクニックは、人々に水を節約してもらうためにも使われたことがある。カリフォルニア州は定期的に水不足に陥る。ある年の水不足のときに、大学当局が学生寮で使われる水を節約できないかと考えた。具体的には、シャワーの時間を短くしてもらうのだ。ただ「シャワーを短くしよう」というメッセージを伝える従来の方法でもある程度の効果はあったが、まだ十分ではない。

そこで対策にあたった研究者は、学生たちの思想と行動の間にあるギャップを明確にするという方法を採用した。カリフォルニア大学サンタクルーズ校の女子用ロッカールームの入口に研究者のアシスタントが立ち、シャワーを浴びにきた学生たちに、節水を訴えるポスターにサインしてもらえるかと尋ねる。そのポスターには「シャワーは短く。私にできるなら、あなたにもできるよ!」と書かれている。

これは社会的に正しいメッセージなので、学生たちは喜んでサインした。
サインが終わると、今度は自分自身の水の使い方について短い質問を受ける。「石鹸で体を洗っている間やシャンプーの間はシャワーを止めますか?」というような質問だ。この質問によって、学生たちは自分の行動に問題があったと気づくことになる。水の節約は大切だと考えながら、実際は水を無駄づかいしていたのだ。

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