ピクミン3DX「良作なのに物足りなく」感じる訳 内容がとてもいいだけに「惜しい」ゲームだ

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あと、ストーリーモードにはボスキャラが出てくるのだが、ボスのギミックがなんとなく中途半端で、ヒントもさっと出てしまうので、たいていゴリ押しで勝ててしまう。

最後のボスだけは「ああ、こうやらないと回復されちゃうのか」という気づきがあり、戦っていて楽しかったのだが、いかんせん最後のボスなので、消化不良のまま終わってしまった。

もちろん、決してつまらないゲームというワケではない。それどころかとても面白いゲームである。

ピクミンたちはちょこまか動き回って楽しいし、探索して果物や橋を架けるためのかけらを発見して運んでもらったり。原生生物と戦うときには、スピーディーな操作が求められる。

夜が近づくと思いもしないところでフリー状態になってしまっているピクミンを発見して焦るし、号令の失敗でピクミンが水に落ちてしまって、大量の犠牲を出してしまったときは本当につらい。

ストーリーモードは少しボリューム不足感はあるものの、デラックス版では別サイドからのサブストーリーが追加されていたり、WiiU版ではDLコンテンツだったミッションモードもついてくる。ミッションモードはタイムアタック的な要素を楽しめる人にはうってつけである。

他にも、トロフィー要素である「進級バッジ」が追加されている。収集要素があればコンプリートしたいという人にはうれしい新要素である。

内容がいいだけに「惜しい」作品

結論としては、「もっと面白くなる要素はありそうなのに、なんでこの面白さ止まりなんだろう」という疑問がすごく湧いてしまうゲームであった。

とてもオリジナリティがあり、キャラクターもかわいらしく操作感もいい。要素も盛りだくさんで、遊んでいると楽しい。そんな高い水準のゲームなのに、ほんの少し何かが足りない。

それをしっかりと指摘するのも僕の仕事なのだが、それがわかるのならば、僕は今頃、売れっ子ゲーム作家として大活躍しているだろう。本当に楽しく、しかしながら惜しいゲームとしか言いようがない。時間があれば1と2もプレイして進化の軌跡を見てみたい。

赤木 智弘 フリーライター

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あかぎ ともひろ / Tomohiro Akagi

1975年栃木県生まれ。2007年にフリーターとして働きながら『論座』に「『丸山眞男』をひっぱたきたい――31歳、フリーター。希望は、戦争。」を執筆し、話題を呼ぶ。以後、貧困問題などをテーマに執筆。主な著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』などがある。

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