走行するコースは「ワインディング低ミュー路」と名付けられた約460m/周で、コースには専用の散水装置により水がまんべんなくまかれていて滑りやすい。
ちなみにミュー(μ)とは、細かな前提条件がないとすれば、路面との摩擦力の指標で数値が低いほど滑りやすいことを示す。乾燥したアスファルト路面(例/一般道路の路面)での摩擦係数は0.8程度だが、今回走行したワインディング低ミュー路の摩擦係数は0.6~0.4程度と低く、乾燥路面の2倍程度滑りやすい。よって、車両を安全にコントロールするには慎重な運転操作が求められる。
その路面と接するのは4本のタイヤだ。タイヤサイズにもよるが1本当たりの接地面積はハガキ約1枚分とも言われるとおり、非常に小さい。そのタイヤには、加速と減速にまつわる「前後の動き」と、カーブで踏ん張る「横方向の動き」、さらにはクルマの自重や上下動、路面からの衝撃が加わりながら、タイヤのトレッド面と地面はつねにこすれ合っている。
これに、ショルダー/サイドウォール/ビートなど各部分の特性が加わり剛体として路面からの衝撃をいなしながら、タイヤは地面をつかむ力、いわゆるグリップ力を生み出す。そして路面ミューに応じたグリップ力(前後方向と横方向)の最大値を円グラフで表したものが「摩擦円」と呼ばれている。
運転操作を図形化してわかること
今回の走行データ計測プログラムでは、ステアリングやペダル類など運転操作の可視化とともに、滑りやすい路面での運転操作を図形化した「G-Gダイアグラム」によって多角的なレクチャーが受けられる。
言うなれば、
②そのうえでスムーズかつ安全な再現性の高い運転操作ができているか
これら2点が詳らかにデータ化されるのだ。
先導車に従って慣熟走行を2周。その後、すぐに筆者の計測走行となった。慣熟走行をしたとはいえ適正な走行ラインまでは覚えきれず、所々、極端に滑りやすい(低ミュー)路面も顔を出す。
気を抜いてしまうとタイヤが横滑りして不安定な車両姿勢になるからさらに焦る……。計測走行は車両挙動安定装置である「VSC」の制御を入れた状態で行う決まりだ。
※計測の様子は筆者のYouTubeチャンネル「西村直人の乗り物見聞録」でご確認いただきたい。
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