超一流の人がドラッカーの愛読を欠かさない訳 視座の低い人に知ってほしい「3つの顔」

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今もまるで色褪せないドラッカーの魅力とは?(撮影:尾形文繁)
ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊、ファーストリテイリングの柳井正など、今も世界中の経営者たちに大きな影響を与え続けているピーター・ドラッカー。一流のビジネスパーソンは、ドラッカーから何を学んでいるのか。
『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』で堀内勉さんが解説した、『「経済人」の終わり』『企業とは何か(会社という概念)』『現代の経営』(ピーター・ドラッカー)のパートを一部抜粋して紹介する。

ドラッカーには「3つの顔」がある

『「経済人」の終わり』(The End of Economic Man)(1939年)、『企業とは何か(会社という概念)』(Concept of the Corporation)(1946年)、『現代の経営』(The Practice of Management)(1954年)は、「マネジメントの発明者」「マネジメントの父」と呼ばれる経営学者ピーター・ドラッカー(1909年-2005年)の社会制度とマネジメントに関する代表作です。

ピーター・ドラッカー(1909〜2005年)
ウィーンの裕福なドイツ系ユダヤ人家庭に生まれた。ドラッカーの家系は代々、政府関係者や大学教授などを輩出する家柄で、父親も外国貿易省長官やウィーン大学教授を務めた。1929 年、ドイツの経済新聞「フランクフルター・ゲネラル・アンツァイガー」の記者になる。1933 年、ヒトラーの弾圧を避けてロンドンに移住し、ケインズの講義を受けながら投資銀行に勤める。1939 年、アメリカに移住し、ニューヨーク大学の教授を経て、1971年にクレアモント大学の教授に就任。

経営学者として広く知られるドラッカーですが、その研究対象は経営にとどまらず、非営利組織から社会や未来の問題にまで及びます。

「マネジメント」の概念を生み出しただけでなく、「企業の社会的責任」「知識労働者」「民営化」など、さまざまな概念を打ち立てました。

「未来学者(フューチャリスト)」と呼ばれることもありますが、自らは人間によって作られた環境に関心を持つ「社会生態学者」「観察者」「文筆家」を名乗りました。

つまり、自分は未来の預言者ではなく現実の観察者であり、過去と現在を見比べて、すでに起きつつあることの予兆を捉えて解説しているのだと考えていました。

次ページ著作のテーマは社会制度とマネジメントが中心
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