超一流の人がドラッカーの愛読を欠かさない訳

視座の低い人に知ってほしい「3つの顔」

さらに、『ポスト資本主義社会』では、資本主義の原型である少数資本家による支配が、1980年頃には従業員資本主義に移行したことが示されています。

かつては、資本家が大きな資本力で設備投資をしてさらに金持ちになっていくという構図でしたが、知識が収益の多寡を決めるというポスト資本主義社会に移行する中で、企業の組織がどう変わらなければいけないのかが語られています。

また同時に、社会主義、共産主義が終焉する中で、社会問題を解決するのは大きな政府ではなく、単一目的を持ったNPOやNGOであり、この中で、いちばん効率のいい組織に実務を任せることで社会問題を解決すべきとしています。

ドラッカーの思想の根底にあるのは、仕事を通じた社会への貢献であり、人々の幸せの実現です。組織とは、個人が社会の一員として、こうした目的に貢献し、自己実現するための手段だということなのです。

組織マネジメントの研究も意欲的に進めた

【ドラッカーの顔2】
「マネジメント:人と組織の動かし方」研究の第一人者

『企業とは何か』から、ドラッカーの組織マネジメントに関する研究は始まります。

ナチスの台頭に直面し、イギリスを経て家族とともにアメリカに逃れたドラッカーが目にした、社会を動かす新しい原理である巨大企業の社会的使命の解明に取り組んだ著作です。

ドラッカーは、社会を分析するにあたって、人の生活と生き方を規定し、方向づけ、社会観を定め、問題を生み出し、解決していく組織を取り上げるべきだとして、アメリカでは企業がその組織にあたるとしました。

ゼネラルモーターズ(GM)からのコンサルティングの依頼を受けたドラッカーは、「事業体としての企業」「社会の代表的組織としての企業」「産業社会の存在としての企業」という3つの面から企業はいかに機能すべきかを考察し、同社の経営と組織を1年半かけて研究・報告しました。

【ドラッカーの顔3】
「現代経営学」の発明者

『現代の経営』は、マネジメントの本質を明示することによって、世界中の企業に大きな影響を与えた著作です。

『企業とは何か』を発表した後、産業社会の主たる機関としての企業とそのマネジメントの成否が社会の行方を左右するという認識のもとで集大成した、ドラッカー経営学の原点です。

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