65歳定年後も快活な人としょんぼりする人の差 「生きがい」と自活能力を身につけられるか

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先に少し触れましたが、定年後に夫が料理を習うことはお勧めです。昨今は熟年男性向けの料理教室もあり、人気を集めているそうです。

先立たれるだけでなく、妻が入院するケースも考えられます。そんなとき、「お米のとぎ方」「包丁の持ち方」がわからないでは、その日の食事すらままなりません。食事がおろそかになれば、体力だって衰えます。

「ベターホーム」のアンケート調査によると、最初はほとんど料理をしない人が約75%でした。しかし、料理を習うことで、月に2〜3回、家で料理をするようになった人が約50%に増えました。

また、妻の負担を減らすという意味でも料理は大きなメリットがあります。

現役時代は、朝とたまに夕食を準備するだけですんだかもしれません。でも、定年後は毎日家にいるため、妻は1日に3回の食事を用意することになります。それまでに比べ、負担が増えるわけです。

夫の株は上がるが逆効果にならないように

これを週に1回でも手伝うことで、妻は気分的にもかなり違います。夫の株がグッと上昇するのは間違いないでしょう。逆にいっさい料理をせず、食事時になるたび「メシはまだ〜」なんて催促していると、熟年離婚のリスクが高まってしまいます。ただでさえ「濡れ落ち葉」になっているなら、さらに危険です。

定年後は時間がたっぷりあります。料理をしていると楽しい時間を過ごすことができ、妻の機嫌もよくなる。まさに一石二鳥です。

『定年の教科書: お金 健康 生きがい』(河出書房新社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ただし、「料理をしてくれるのはいいけれど、散らかしっ放しで後片づけをしないんだから!」などと怒られないように。妻の手間を増やしては逆効果です。

先ほどのベターホームの調査によると、料理教室に通う前は、料理以外の家事をほとんどしなかったという人が約37%でした。ところが、通ったあとは、家事をほとんどしない人が約12%に減っていました。料理をきっかけとして、家事全般に目が向くようになったのでしょう。

料理がきっかけでも、掃除がきっかけでもいいのですが、日常的に家事を手伝う生活を実践してみませんか。そのときになっていきなりやれといわれても、なかなかできるものではありません。

配偶者に先立たれても生活していける力を、日頃から鍛えていくことは大切です。

長尾 義弘 NEO企画代表、ファイナンシャル・プランナー

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ながお・よしひろ / Yoshihiro Nagao

お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年に「NEO企画」を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書には『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『かんたん!書き込み式 保険払いすぎ見直しBOOK』『老後資金は貯めるな!』(河出書房新社)、『コワ~い保険の話』(宝島社)などがある。
http://neo.my.coocan.jp/nagao/

 

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