トヨタがモビリタで体験プログラムを行う理由 運転が苦手な人も得意な人も客観目線で理解

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モビリタでは多彩なプログラムを用意する。企業や団体向けだけでなく、個人ドライバー向けにも設定され、いずれも交通事故低減を目的にプログラムはトヨタが独自に開発した。

運転操作の基本である「走る」「曲がる」「止まる」の再確認から、モビリタの特徴を生かした高速域からのフルブレーキングなど、一般公道では体験できない、“危険が伴う運転操作を安全に体験できること”がモビリタ最大の特徴だ。 

「走行データ計測PGM」については凄腕技能養成部のメンバーがインストラクターを務める。その他の企業講習や総合トレーニング、GRヤリスのタイムトライアルはすべてモビリタインストラクターが担当する。インストラクターは、トヨタのテストドライバーを養成している「凄腕技能養成部」が務め、これまで車両開発を通して培ったドライビングのノウハウを安全運転に応用するなどしてプログラムに生かされている。

そこで今回、凄腕インストラクターの指導を受けるべくモビリタに出向き、自身の運転操作を見直してみた。

現在モビリタでは、一般ドライバー向けの安全運転講習会、近隣の地方自治体と連携した幼児向けの交通安全教室など、それぞれの対象やニーズに合わせたさまざまなプログラムが展開されている。そのうち、筆者を含めた東洋経済オンライン取材チーム3名は、「走行データ計測プログラム」に参加した。

これは2020年秋から加わった新しいプログラムで、同時期に加わった新プログラム「GRヤリス タイムトライアル」と合わせて「ちょこっとモビリタ」とネーミングされた。両プログラムにおける体験者の累計は600名(2020年末現在)と人気のプログラムだ。

自身の運転操作をデータ化して理解

走行データ計測プログラムの狙いは、自身の運転操作をデータ化して理解することにある。体験プログラム車両(トヨタ「86」)に搭載した計測ツールでは、自身の運転操が赤裸々に図形化/データ化される。そして、得られたデータをもとに、口頭でのアドバイスだけでは伝わりにくい部分を、凄腕インストラクターから事細かに指導を受ける。

体験時間は30分だ。こうすることで、自身のウィークポイントが正しく理解できて、これからの運転操作に生かすことができる。さらに苦手意識の克服にもつながるため、運転から遠ざかっていたドライバーであっても、結果的に安全な運転へと近づくことができる。

(第2回に続く)

富士スピードウェイの広大な敷地の中にモビリタは位置している。この先、筆者が「クルマ好き目線」として、同時に体験したモータージャーナリストの藤島知子さんが「女性として体験する意義」として、それぞれレポートを寄稿する予定だ。なお、東洋経済オンラインの公式YouTubeチャンネルでも近日中に動画の紹介を予定している
西村 直人 交通コメンテーター

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にしむら なおと / Naoto Nishimura

1972年1月東京都生まれ。WRカーやF1、さらには2輪界のF1と言われるMotoGPマシンでのサーキット走行をこなしつつ、4&2輪の草レースにも精力的に参戦中。また、大型トラックやバス、トレーラーの公道試乗も積極的に行うほか、ハイブリッド路線バスやハイブリッド電車など、物流や環境に関する取材を多数担当。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。(財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員。(協)日本イラストレーション協会(JILLA)監事。★Facebook「交通コメンテーター西村直人の日々

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