神戸・神出病院、凄惨な虐待事件から見えた難題 患者をなぶりまくる精神病院の驚くべき実態

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だが、それから半年。神出病院では残る職員、経営法人の責任追及などの「解体的出直し」や、転院・地域移行などの入院患者の救済は、まるで進んでいない。いやこの間、進まないどころか、むしろ退歩していると言わざるをえないような出来事ばかりが続いている。

2020年11月、逮捕から8カ月後になって、病院はようやく事件後初となる、入院患者の家族への説明会を実施した。参加者によれば、関係者以外は立ち入り禁止で、家族のほか、後見人・保佐人としての司法書士や社会福祉士を含め70~80人ぐらい出席していたという。

「それに何かご意見でも」

冒頭、大澤次郎院長(当時)からは形式的な謝罪の挨拶こそあったが、監視カメラの増設、警備員の配置などといった対応策が説明の中心だった。質疑応答で詳細な事実関係の説明を求められると、「組織ぐるみはありえず、まったく知らないところで起こったことだ」「院長独裁などと言うマスコミと話す気はない」「不適切な隔離と言われるが、患者はニコニコしている」などと発言。

ある後見人から退院促進について尋ねられると、「後見人がどうこうと個人的な意見を言う立場にはないと思う。家族からしか聞かない」とはねつけ、開始から20分程度しか経ってないにもかかわらず、「帰りのバスの用意がある」と一方的に打ち切りを告げた(事前案内では1時間を予定)。その後も食い下がる関係者に対しては、「うちは社会的事情があって行くところがない人を預かっている。家族が困っているので預かっているが、それに何かご意見でも」と告げたという。

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