「気持ちが落ち着くまで、ちょっと入院しませんか」
「もう4年ぐらい会えてないよね……、長いよ。それともママは子供を産んではいけなかったの?育ててはいけなかったの?だから会えないの……?」
2020年4月18日付の自筆の日記に、2人の娘たちと離れ離れになっている悲痛な心境をこうつづっていた、30代女性のAさん。Aさんが精神科病院「報徳会宇都宮病院」(栃木県宇都宮市)に入院してから、ちょうどこの日で2年9カ月が過ぎていた。
都内在住のAさんは夫のDV(家庭内暴力)に耐えかねて離婚し、当時2歳と1歳だった年子の娘たちを連れて、DV被害の母子を一時保護する、都内の「母子生活支援施設」へと身を寄せた。
共同生活を余儀なくされる慣れない環境下で、娘たちは不安定になった。ささいないざこざ続きの毎日だったが、ある時、姉妹けんかで次女の頬にできた傷がネグレクト(育児怠慢)の証拠だとして、児童相談所が介入。保育園にいた2人の「保護」に踏み切った。
突如、娘たちに会えなくなったショックでAさんはうつ状態に陥った。施設から出され経済的にも困窮し、東京都内の地元の福祉事務所に相談すると、「気持ちが落ち着くまで、ちょっと入院しませんか」と、職員から打診された。
「その時は自暴自棄な気持ちで同意しましたが、その後に当然都内だと思っていた入院先は、私とは縁もゆかりもない栃木県内だと聞き驚きました」(Aさん)
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