いきなり見知らぬ男たちに連れて行かれた
「本当に怖かったですよ。それこそ普通に誘拐じゃないですか。まるでSF小説のような出来事が、まさか現在の日本であるとは信じられませんでした」
都内在住の元大学教員Aさん(52歳男性)は、今でもそのときのショックが忘れられない。2012年12月、たまたま実家に泊まった翌朝8時過ぎ、階下が騒がしく目を覚まして寝間着のまま階段を降りかけると、駆け上がってきた見知らぬ男2人に、両脇と足を押さえられ、家から無理やり連れ出されそうになった。
恐怖からAさんは柱や玄関の開口部を手でつかんで必死に抵抗したが、もう1人の男も加わり3人に引きはがされて抱えられたまま、家の前に停められたワゴン車に押し込められた。
「名乗りもせず、連れ出した理由もどこに行くのかも、まったく伝えられませんでした。車から降りて初めて、精神科病院に連れてこられたとわかりました」
移動中の1時間超の間も解放するよう求めて必死に抵抗したが、男たちに腕や腰を押さえつけられた。その結果、病院の診断書によれば、「加療2週間の頚部打撲および頸椎捻挫、全治3日間の頭部外傷および顔面外傷、眼球打撲傷」の傷害を負った。
事の発端は思いもかけないことだった。実はAさんの様子を心配した親族がよかれと思って病院に相談したところ、こんな事態になってしまったのだ。その後、Aさんは精神疾患ではなく、電磁波過敏症と診断されている。
家を出る時点では無傷だったのに、病院には顔と体が傷だらけで到着したと知ったAさんの父親が、この業者に詳しい報告を求めると、届けられた報告書にはこう結論付けられていた。
「弊社としては、本件については正当な業務行為であり、対応としても安全などの確保の観点から必要最小限の対応をしたものであると認識しております」
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