中国で相次ぐ「書店閉店」でも希望の光がある訳

2020年は書店経営母体の7割で売上高が減少

中国では書店の閉店が相次ぐ一方、新たなビジネスモデルが模索されている(写真は誠品書店の蘇州の店舗)

映画館やレストランなどと同様、現実の店舗を構えるリアル書店の経営は、新型コロナウイルスの感染拡大で手痛い打撃を被った。3月30日に北京で開催された書店関係者向けフォーラムの報告書によれば、調査対象の書店の経営母体296社のうち、2020年に売上高が前年より減少した法人が70.27%を占め、そのうち110社は売り上げの減少率が20%を超えた。

一方、売り上げが増加した経営母体も82社あったが、前年比で5%以上増えたケースは30社だけだった。(国営の書店である)新華書店の系列チェーン、民営の書店チェーン、個人経営が中心の独立系書店の3分類で比較すると、とくに独立系書店の売り上げ減は顕著で、163社のうち半数以上が20%を超える減少となった。

この1年に相次いだ書店閉店のニュースは、中国の読書ファンを失望させてきた。最近では台湾系の大型書店チェーンである誠品書店の深圳店が、2020年12月31日に閉店した。同店の2019年の赤字は652万元(約1億890万円)まで膨らみ、経営を圧迫したのがその理由だ。冒頭のフォーラムの報告書によれば、2020年に中国国内で閉店した書店の店舗数は1573店に及ぶ。

しかしながら、中国で書店経営の情熱が消えたわけではない。同じく報告書によれば、2020年に新たにオープンした店舗数は4061店に上り、閉店数をはるかに上回っている。これは読書ファンにとって「希望の光」と言えそうだ。

大きなリスクも抱えている

中でも新華書店系列と民営の書店チェーンは新規開店に積極的で、重慶市の新華書店の運営会社は2020年に114店、安徽省の新華書店の運営会社は同95店、民営チェーンの「西西弗書店」と「漁書書店」はそれぞれ30数店を新規オープンさせた。

本記事は「財新」の提供記事です

とはいえ、リアル店舗での販売を主力とする書店は大きな課題を抱えている。前出の報告書では、調査対象の半数以上の経営母体でネット販売の売上高が10%以下にとどまった。電子書籍などの普及で読書のペーパーレス化が進み、EC(電子商取引)大手が本のネット通販の値引き競争を繰り広げるなか、リアル店舗の競争優位はすでに失われている。

近年、リアル店舗の強みを活かして新事業を始める書店が増えている。店舗内へのカフェ併設、デザイン性に富んだ文房具の販売、会員制の導入、留学のコーディネートなど、本の販売との相乗効果を狙ったさまざまなサービスを展開している。

しかし、カフェや文房具販売を取り入れた店舗のなかで、それらの新事業の売り上げが10%を超えるケースは半分にも満たない。新しい販売モデルは必ずしも成功していないのだ。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は3月30日

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
  • iPhoneの裏技
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 岐路に立つ日本の財政
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
30~40代でも起こりうる『孤独死』の過酷な実態
30~40代でも起こりうる『孤独死』の過酷な実態
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT