サウジとロシア、「減産幅縮小で足並み」のわけ 異なる思惑ながら「OPECプラス」の枠組み堅持

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だからこそ、サウジはロシアに対して一定の配慮を見せながらOPECプラスによる協調減産体制の維持に動いてきた。

2021年1月の会合ではロシアの増産を認めた代わりに、サウジ自身が日量100万バレルもの自主的な減産を行うと表明することで、市場に供給引き締めをアピールした。サウジがここまでロシアに対して歩み寄りを見せるのは、「OPECプラスという枠組み自体が壊れてしまうことを恐れている」(日本総合研究所調査部の松田健太郎氏)ためだ。

もう1つ、今後の原油価格を左右する要因がアメリカのシェールオイルだ。2000年代に入ってシェールオイルの採掘技術が進むと、アメリカが世界最大の原油生産国に変貌した。それ以来、原油価格が上昇するとシェール企業が増産に転じ、原油価格の下押し圧力となってきた。

鈍いシェール企業の掘削活動

現在、シェール企業が新たなシェールオイルの坑井を1本掘削するのに見合う原油価格は1バレル50ドル程度とされている。足元の油価であれば掘削活動は活発になるはずだが、シェール企業の動きは鈍い。

あるエネルギー業界関係者は「シェール企業は株主から、生産量を追うのではなく、利益を第一に考えるべきだと批判されている。現在の原油価格の水準が盤石なのか見極めようとしているのだろう」と解説する。原油価格低迷で2020年6月にはアメリカでシェール開発を手掛けるチェサピーク・エナジーが破綻した。むやみにシェール開発費用を投じれば、経営が行き詰まることになる。

松田研究員が「シェール企業の生産量は、急ピッチの回復には至りにくい。2021年後半に向けて緩やかに上昇を続けるのではないか」と予測する。現時点ではシェールの大増産によって原油価格を大きく下押しする可能性は低く、緩やかに上昇を続けることも考えられる。

次回のOPECプラスの会合は4月28日。世界経済のコロナ禍からの回復ペースと産油国の思惑に原油価格は今後も揺れ動きそうだ。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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