サウジとロシア、「減産幅縮小で足並み」のわけ 異なる思惑ながら「OPECプラス」の枠組み堅持
OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの産油国でつくる「OPECプラス」が4月1日、オンラインで会合を開き、事前予想に反して減産幅を縮小することで合意した。
OPECプラスは4月時点で日量690万バレルの減産措置を講じているが、それを段階的に縮小して7月には同576万バレルとするという内容だ。OPECプラスによる協調減産とは別にサウジアラビアが自主的に続けてきた日量100万バレルの減産も7月に終了する。
これを受け、原油価格は一時上昇。足元では1バレル60ドル前後で推移している。
サウジの行動の背景にアメリカの影
世界経済はいまだコロナ禍から抜け出せず、原油需要の見通しは不透明だ。ではなぜ、このタイミングでOPECプラスは減産緩和に舵を切ったのだろうか。背景には、サウジアラビアに対するアメリカの圧力がある。
アメリカ・エネルギー省のグランホルム長官はOPECプラス会合前日の3月31日にサウジアラビアのエネルギー大臣、アブドルアジズ氏と電話会談を行った。
原油価格の上昇に伴い、アメリカのガソリン小売価格は1ガロン(約3.785リットル)あたり3ドル近くまで上昇している。アメリカではガソリン価格が3ドルを超えると時の政権の支持率に悪影響を及ぼすとされており、原油価格と産油国の動向はバイデン政権にとっても無視できない。
グランホルム長官は自身のツイッターで、「(サウジとの会談で)消費者にとって安価で信頼できるエネルギー源を確保するための国際協力の重要性を再確認した」と述べた。
あるエネルギー業界関係者は「OPECに対して要求を突き付けてきたトランプ政権と同様に、バイデン政権も原油高を牽制したことでサウジは減産幅縮小へ流れた」と、アメリカ側の「圧力」によりサウジの減産緩和につながった可能性を指摘する。
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