原油価格が再び「逆戻りする懸念」が出てきた 夏なのに需要は思ったほど回復していない
「OPECプラス」が新たな決断を下した。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非加盟国で構成は、7月15日に開いた共同閣僚級監視委員会(JMMC)で、8月からの減産規模を現在の日量960万バレルから770万バレルに縮小することで合意した。
4月9日から開かれた会合では、2018年10月の生産量を基準に参加国がそれぞれ生産を23%ずつ減少させるという、歴史的な大幅減産で合意した。今回は逆にようやく生産を増やす方向に舵を切れるようになるまでに市場が回復してきたということなのだろう。
予定以上に生産が大幅回復するリスクが出てきた
もともと、この960万バレルの減産は、5月1日から6月末までの2カ月間のみの予定で、その後は年末まで日量770万バレル、2021年1月から2022年4月末までは日量580万バレルと、段階的に減産幅を縮小する予定となっていた。
6月に開かれたJMMCでは、まだそこまで需要が回復していないとして、960万バレルの減産を7月末まで1カ月間延長することで合意していたが、今回の会合ではサウジアラビアやロシアといった主要国が、予定通り減産幅を縮小することを支持。他の加盟国もそれに追随したようだ。
サウジのサルマン・ビン・アブドルアジズエネルギー相は会見で「新型コロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウン(都市封鎖)や航空機の運航停止などによって大幅に落ち込んだ需要がここへきて回復基調にあることから、減産幅縮小の影響はほとんど感じられないだろう」と述べている。
一方でサウジやロシアは、これまで減産の遵守が不十分だったイラクやナイジェリア、カザフスタンといった産油国に対し、8月と9月のその穴埋めとして自主的な減産を求めている。
だがこれまで減産をしっかりと進めなかったこれらの国々が、ほかの加盟国が生産を増やす中でこうした提案を履行するのかは疑わしいところだ。どちらかというと加盟国全体にタガが外れた格好となり、予定以上に生産が大幅に回復するリスクの方を懸念しておくべきではないか。
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