ついに国内で製造「培養フォアグラ」味と中身 日本発の代替肉メーカーが仕掛ける生産革命

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高級食材であるエビやカニにも注目しているほか、2025年にはステーキ肉のような塊肉を作ることが目標だ。「塊の肉、血の通った組織を作る技術は再生医療としてすでにあるが、医療ベースなので非常にコストが高い。これをいかに安く食品用に大規模に展開できるかがポイント」(羽生CEO)

こうした培養肉を開発するベンチャー企業は、世界中で増えている。代替肉として注目を集めるが、先駆けて普及が進むのが植物肉だ。1950年代から大豆たんぱく素材開発を手がける不二製油グループ本社や、代替肉のライバルともいえる食肉メーカーも含め、大手企業が攻勢をかけている。

「NEXT牛丼1.2」を食べてみた

2020年に消費者用の大豆肉を投入した伊藤ハム米久ホールディングスは「今年度の売上高は前年度比50%増を狙っている」(同社経営企画室)と期待を寄せる。

代替肉牛丼「NEXT牛丼1.2」では、本物の牛肉との差をほとんど感じなかった(写真:ネクストミーツ)

そんな中、植物肉の専業メーカーとして2020年に創業したのがネクストミーツだ。現在市場に出回っている植物肉はハンバーガー用や肉団子など、加工が簡単なミンチ状のものが多いが、同社は焼肉や牛丼などスライス肉状のものを中心としている。

実際に代替肉牛丼「NEXT牛丼1.2」を食べてみたが、食感は本物の牛肉と差を感じず、大豆臭さもほとんどない。特殊な機械で熱、圧力、蒸気などの要素をかけあわせて独自の食感を出している。原料は作りたい物によって、大豆粉末、脱脂大豆、あるいはエンドウ豆や藻類などを使い分ける。

すでに通販サイトに加え、外食チェーンの焼肉ライクや、食材宅配のオイシックスへ商品を提供している。そして3月末には大手スーパー・イトーヨーカ堂の精肉コーナーに焼肉用代替肉「NEXTカルビ1.1」と「NEXTハラミ1.1」が並んだ。

ネクストミーツにとって、冷蔵の植物肉を取り扱うのは初めて。同社の佐々木英之代表は「冷蔵状態でも1カ月ほど賞味期限があるので、フードロスの削減にも貢献できる」とメリットを語る。現在の売り上げは月2000万円程度だが、4月からはテレビCMの放映も始めた。

すでに台湾でも販売されており、香港、ベトナム、インド、シンガポール、欧米でも準備を進めている。「サステナビリティ・ファーストで環境改善をテーマにしているため、我々の中での事業比重は海外7割、日本3割」(同)と起業時から目線は海外を向いている。

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