ついに国内で製造「培養フォアグラ」味と中身 日本発の代替肉メーカーが仕掛ける生産革命
液体で満たされたタンクの中で、次々と生まれるお肉。まるでSFの世界だが、こうして製造された「培養肉」を食べる日は遠くなさそうだ。
2015年創業のインテグリカルチャーでは、培養肉や化粧品原料などの研究開発を行っている。自社開発した「カルネット・システム」では、細胞を培養することができる。牛肉や豚肉、エビなど食べ物に限らず、毛皮や臓器などどんな細胞でも対象に含まれる。年内には、細胞培養で製造されたフォアグラを高級レストランで試験的に提供する計画を立てている。
カルネット・システムは、体内の一部を再現した装置となっている(写真右下)。左から3つのタンクは臓器、チューブは血管の役目を果たしている。右側の大きなタンクの中に肝臓の種細胞を入れると、目に見えない大きさのフォアグラの細胞が生まれ、液体中をふよふよと漂いながら殖えていく。
雑味が少なくストレートな風味
現時点では塊にする技術が完成されていないため、まずは浮遊する細胞を集めてペースト状のフォアグラを提供する予定。実際に料理すると、血管がないため血の味がしないなど、本物のフォアグラと比べると雑味が少なくストレートな風味になるという。
すでに培養肉を開発する会社は世界中にあるが、食品用ではなく研究用の培養液を使って製造されるケースが多かった。
これに対しインテグリカルチャーは「食品や食品添加物から培養液を作るため、食べても安全性に問題がないフォアグラを製造できる」(羽生雄毅CEO)。フォアグラを最初の培養肉に選んだのは、高価格でペースト状の食材だからという。
フォアグラの販売価格は100グラム当たり400ドル程度を想定している。今後、コストをさらに抑えるには、装置の大型化と量産化がポイントとなる。これまでは数リットルの装置で製造してきたが、1月から神奈川県藤沢市に200リットルのタンクを持つ製造設備を備え、試運転に乗り出した。
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