ドイツと日本「テレワーク格差」が拡大したワケ 日本人は「出社したがり病」に見えている
とくに会社員など被雇用者たちの間では、在宅勤務は好評である。ドイツの公的健康保険の運営機関である「ドイツ一般健康保険(DAK)」が2020年7月に公表した調査結果によると、コロナ第1波で初めて長期間のテレワークを経験した社員の約77%が、「将来も、少なくとも部分的にテレワークを続けたい」と答えた。またテレワークを時々経験した社員の間でも、約62%が継続を望んでいる。
ミュンヘン市役所の職員組合が2020年11月に実施したアンケートによると、回答者の75%が、「将来も定期的にテレワークを行いたい」と答えた。
これらの調査結果は、多くの社員や公務員が「仕事が100%在宅勤務になることは望まないが、週の間に何回かテレワークができるようになればよい」と考えていることを示している。ちなみにミュンヘン市役所でのアンケートでは、回答者の50%が「将来は主にテレワークで働きたいので、役所に自分の机がなくなってもよい」と述べている。彼らはよほどテレワークが気に入ったのであろう。
署名・捺印のための出社はありえない
とはいえドイツ企業も、2020年3月にコロナ禍が起きるまでは、社員の大部分を自宅で働かせたことはなかった。企業経営者たちは、業務が滞るのを防ぐために、極めて短期間にITに関するキャパシティー(容量)を拡充しなくてはならなかった。多数の社員がZoomやSkype、Webex、Teamsなどを使ってオンライン会議を行うと、行き来するデータ量が飛躍的に増え、ITシステムへの負荷が増加するからだ。
さらに社員は自宅から会社のITシステムにログインして、オフィスにいるときと同じように、クラウド内のファイルに保管されている文書を直したり、計算作業を行ったりする必要がある。この際には、ハッカーのITシステムへの侵入やデータの盗難などのサイバー攻撃を防ぐために、ヴァーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)などの技術によって、データが行き来する回線を守る「防護トンネル」を設置しなくてはならない。
しかもハッカーが次々に繰り出す新しい攻撃手段に備えるために、VPNをつねに強化する必要がある。コロナ禍が勃発して以降、世界中で企業・市民に対するサイバー攻撃の件数が増加していることを考えると、防護措置は極めて重要だ。
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