「宇宙葬がお墓と同じ存在になる日がくる」 米ベンチャー、エリジウムスペースのCEOに聞く

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サービスに申し込んでくれた人の話を聞いたり、メッセージを読んだりすることがあるが、ひとつひとつにとても深い愛が込められており、胸を打たれる。彼らは単に遺灰を宇宙に送るのではなく、故人と自分にとって意義のある思い出を作ろうとしている。話を聞く機会があるたびに、自分たちは単なる宇宙ベンチャーではなく、家族にとって特別な思い出を作る仕事をしていると考えている。

――資金調達は。

当初はわれわれの資金で始めたが、その後小規模だがエンジェル投資家から資金を調達している。最初の打ち上げも含めて当面の運転資金はあるが、今後も資金調達はしていきたいと考えている。1年前はこのサービスに対してどれだけの関心があるかわからなかったが、今はきちんと市場があり、需要もあるということもわかった。

スマートフォン用の専用アプリで衛星の位置を確認することもできる

現在、シリコンバレーでは(既存の事業構造などを破壊する)「Disruptive(破壊的な)サービス」への関心が非常に高い。私たちは、これまで存在していなかったものに取り組もうとしている。リスクが高い分、市場の成長性も高いと思う。

私たちは、宇宙業界と葬儀業界という2つのとても保守的な業界とかかわっている。たとえば、宇宙業界は、失敗するリスクを鑑みて、新しい技術を簡単には採用しない。

一方、葬儀業界も、多くはファミリービジネスで同じことを長くやっている。こうした中、これまでにない低価格で民間向けの宇宙サービスを展開することは破壊的といえるだろう。だが、私たちは宇宙が人々に近い存在、故人にとってお墓と同じような存在になってほしいと考えている。

2年以内には事業を10倍に

――当面の目標は。

まずは今秋に50~100人を募りたいと考えており、これは達成圏内だ。それ以降は、2000人~3000人程度は募りたい。2年以内に最初の飛行のときの10倍くらいには膨らませたいと思っている。そのためにも、初飛行を成功させて、潜在的な顧客だけでなく、葬儀会社など葬儀のプロからも信頼を得ることは非常に大事だ。

また、私たちは日米2つの市場でサービスを行っているが、来年あたりには新たな市場でサービスを始めたいと考えている。たとえば、英国は有望な市場だ。日本と米国では年間100万人が火葬されているが、英国ではこの数は50万人に上る。

倉沢 美左 東洋経済 記者

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くらさわ みさ / Misa Kurasawa

米ニューヨーク大学ジャーナリズム学部/経済学部卒。東洋経済新報社ニューヨーク支局を経て、日本経済新聞社米州総局(ニューヨーク)の記者としてハイテク企業を中心に取材。米国に11年滞在後、2006年に東洋経済新報社入社。放送、電力業界などを担当する傍ら、米国のハイテク企業や経営者の取材も趣味的に続けている。2015年4月から東洋経済オンライン編集部に所属、2018年10月から副編集長。 中南米(とりわけブラジル)が好きで、「南米特集」を夢見ているが自分が現役中は難しい気がしている。歌も好き。

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