「宇宙葬がお墓と同じ存在になる日がくる」 米ベンチャー、エリジウムスペースのCEOに聞く

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――オンラインでの販売ということだが、そのほかのマーケティング手段は。

ネットで販売すると同時に、葬儀業界ともパートナーシップを構築しようと勤しんでいる。葬儀に関しては、葬儀会社の経験から学ぶことがたくさんある。私たちはこうした業界からまったく独立した異質の存在ではなく、彼らと協業したいと考えている。

たとえば、きちんとした葬儀を行ったうえで遺灰を宇宙に送りたいというニーズは、特に日本で多いのではないか。多くの人は単なるオンラインサービスを求めているのではなく、きちんとした葬儀サービスを求めている。なので、たとえば葬儀会社が「宇宙葬」をオプションの1つとして盛り込んでくれるのが理想的だ。通常の葬儀のように、火葬をしてから遺灰をカプセルに入れるところまでやってくれるといったことができるといい。

日本の葬儀会社との提携も

――今回の来日の目的は。

日本で葬儀会社と話をするためにきた。たとえば、今回は葬儀業界大手サンレーの社長で、全国冠婚葬祭互助会連盟会長でもある佐久間庸和氏と対面する機会があった。同氏は「一条真也」というペンネームで著書も執筆しており、20年以上前に宇宙葬についての著書「ロマンティック・デス」を出している。彼は昔から宇宙葬にロマンを抱いており、私たちはそれを実現できる。

エリジウムの小型衛星「キューブサット」、この中に遺灰を入れたアルミニウム製のカプセルを納める

このほかにも大手を多く回り、多くから非常にポジティブな反応を得た。現時点で公式に発表できる提携話はないが、パイプはいくつかある。私たちが今後事業を拡大していくうえで信頼は大きなカギとなるが、今秋打ち上げが成功すれば、こうした提携も一段と進むと考えている。

――宇宙葬ではすでに先行する企業があるが、価格のほかにエリジウムの強みは何でしょうか。

葬儀会社の出身者などが所属している点だ。競合のセルスティスは技術的なパフォーマンスについて広告宣伝しているが、私たちは家族を亡くした人々がそうした技術におカネを払いたいと考えているわけではないと思う。

彼らが求めているのは美しい思い出だ。だから、単なるガジェットにならないよう、チームに文化人類学者を加えたり、葬儀プランナーなどの手を借りたりして、きちんとした葬儀サービスを提供したいと考えている。私たちは単なる宇宙ベンチャーではなく、葬儀会社だと考えている。

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